日経ナショナル ジオグラフィック社

2021/3/19

変わった色のペンギンは他にも

ニュージーランドのマッシー大学の鳥類学者で、ペンギンの色素に詳しいダニエル・トーマス氏は、黄色いペンギンの黄色と白の羽の境目に濃い色の線が入り、背中の羽もベージュ色をしている点を指摘する。これはおそらく茶色や黒の色素など、ある種のメラニンを持っていることを示しているという。

トーマス氏は、「メラニンが存在するかどうかは、羽のサンプルの生化学的な検査をしてみなければ、わかりません」という点で、他の専門家たちと意見が一致している。

ボースマ氏は38年間ペンギンの研究をしているが、これまでに見たことのある白変種の個体は10羽にも満たない。キングペンギンの白変種は見たことがないというが、いたとしても驚かないと話す。

キングペンギン以外にも、イワトビペンギンやマカロニペンギンなど、白変種の目撃例は多い。19年には、やはりサウスジョージア島で灰色の部分が茶色に変色したキングペンギンが見つかっている。

オスの場合は不利なことも

今回の黄色いペンギンがオスなのかメスなのかは、見ただけではわからないと、アダムス氏は言う。だが、ボースマ氏の研究対象であるマゼランペンギンの場合、体の色が薄いオスは交尾相手を見つけるのに苦労することがあるという。

「メスであれば問題はないでしょう。マゼランペンギンは、メス1羽に対しオスが3羽もいますから」。逆に、変わった外見のオスは交尾相手が見つけられず、その結果、白変種が遺伝子を残すチャンスはおよそ半分ほどだという。

キングペンギンの個体数は増加しており、国際自然保護連合の評価では低危険種とされている。

しかし、珍しい体色を受け継いだ個体は生存の脅威にさらされやすく、それが希少性を高める要因になっている。

アルビニズムや白変種とは逆に、通常よりも色素が多くなるメラニズムを持つペンギンもいる。この場合、体の色は全体的に濃くなる。すると、水中で他のペンギンよりも目立ってしまい、獲物である魚にすぐに気づかれて逃げられてしまうかもしれない。

一方、色が白いペンギンはヒョウアザラシやシャチの標的になりやすい。

「ですから、目撃する確率も低いのです」と、ボースマ氏は言う。つまり、アダムス氏の写真はそれだけ希少価値が高いということだ。

(文 JASON BITTEL、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年2月25日付]

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