どうすれば日本の寄付市場も海外並みになるのでしょうか。トラストバンクの須永珠代会長兼ファウンダーは「税制優遇が大事だ。ふるさと納税は寄付額の100%近くが控除される有利な制度だが、寄付先は自治体に限られている。これを大学や研究機関、NPOなどに拡大すれば、お金の流れががらっと変わる」と話しています。

須永珠代・トラストバンク会長兼ファウンダー「新型コロナで新たな動き生まれる」

寄付文化は日本に根付いてきたのか、トラストバンク(東京・渋谷)の会長兼ファウンダー、須永珠代氏に聞きました。

――東日本大震災から10年になります。震災は日本の寄付文化にどんな影響を与えましたか。

トラストバンクの須永珠代会長兼ファウンダー

「震災をきっかけに海外からたくさんの寄付をいただいた経験が大きい。金額が大きかったのは米国で、人数では台湾だ。日本を応援してくれる海外の方がいるのだから、同じ日本にいる者として寄付やボランティアをしたいという人が増えたと感じた。実際、ふるさと納税を災害支援のために使ったのは東日本大震災から、という人が2割近くで最も多い」

――地震や豪雨などの被災地にもふるさと納税が集まるようになりました。

「2016年の熊本地震では、被災した自治体に代わってほかの自治体が被災自治体へのふるさと納税を受け付ける『代理寄付』を始めた。これがきっかけになったという人も目立つ」

「近年の豪雨災害で海外から『被災地にふるさと納税をしたいので、英文のサイトを作ってほしい』という要望があり、数日で英語版を作った。観光で日本に訪れたことのある人が増え、SNS(交流サイト)で被災の状況がすぐに伝わるので、海外からの寄付も増えている」

――ふるさと納税は19年度の5000億円規模から20年度は6000億円規模になりそうです。

「他の通販と同じように、コロナ下の巣ごもり需要で伸びている。ふるさと納税は今までお金をたくさん持っている人がするものという印象があった。コロナ下では、パートやアルバイトの方々が『収入がなくなったときに、2万円でも3万円でもふるさと納税をしてコメや肉をもらえば家計の足しになる』と考えて、新たに始めるような事例が増えている」

――寄付の形も多様になり、様々な目的のクラウドファンディングが増えています。

「コロナ下で今まで参入していなかった人たちが参入してきた。例えば、飲食店やアーティストなどリアルで勝負してきた人たちがなすすべをなくしたときのツールの一つとして使い始めた。クラウドファンディングは大変そうだと思われていたが、ハードルが一気に下がった」

――こうした傾向はコロナが収束しても元には戻りませんか。

「戻らないと思う。一度ハードルを越えると、リピーターになる。ふるさと納税はリピート率が高いのが一般の通販と違うところだ。収入がある限り、ふるさと納税をできる枠があり、やめるインセンティブがない」

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