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フランスでは「ドリア」ではなく「コメのグラタン風」と呼ばれる=PIXTA

この「元祖ドリア」、今でもホテルニューグランドで当時のままの味をいただける。

「誕生時は『シュリンプドリア』(芝エビのドリア)でございましたが、その後、1970年ごろにホタテの貝柱を具材として追加し、名称を『シーフードドリア』と変更してございます。レシピは変えてございません」(横山さん)

さて、ワイル氏はパリから来たフランス料理のシェフということで、「もしかしたらフランスにはドリアがある?」と、当コラムにも執筆されているパリ在住のユイじょりさんに聞いてみた。

「かれこれ通算5年以上フランスに住んでいますが、日本でよく食べる『ドリア』は少なくともレストランで見たことがありません。一般家庭でも炊いたおコメにベシャメルソースやミートソース、チーズ、パン粉などをかけてオーブンで焼くことはなくはないですが、『コメのグラタン風』というような名前で呼びますし、『ドリア』とは言いませんね」

ちなみに「ドリア」はフランス語が語源のようで、パリのレストランがイタリア貴族のドリア一族のために作った料理のこととか。ただ、その料理は日本のドリアとはまったく別物で、キュウリとトマトとトリュフを使ったイタリア国旗カラーをイメージしたサラダだという。もっとも、じょりさんによれば、「doria」という言葉自体、フランスではほぼ知られていないとのこと。

ワイル氏はフランスの家庭料理にヒントを得てこの創作料理を作ったのかもしれない。そして、なぜか「ドリア」という名前をつけ、それが今日本では知らぬ者がいないくらい一般的な料理として親しまれている。イタリア貴族・ドリア一族もさぞビックリしているに違いない。

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