免疫力を下げない眠りのカギは「週末の寝方」「仮眠」にあり

免疫低下につながる睡眠の乱れの影響をなるべく小さくするにはどうすればいいか。中田教授は以下の対策を提案する。

1 平日と週末の睡眠中央時刻をずらさない

睡眠時間は確保できていても日中すっきりしない、という人は、社会的時差ぼけを1時間以内に収めるようにしよう。「週末にいつもよりも2時間多く寝たい、というときは、1時間早めに眠り、1時間遅く起きる。こうすると睡眠中央時刻をずらすことなく、睡眠時間を延ばすことができる。実際に、中央時刻をずらさない眠りによって平日の疲労感も改善されることを予備研究で確認した」(中田教授)。

2 午後15分の仮眠をとる

「一般に、仮眠は40分以上とると夜間の眠気が妨げられるが、15~30分以内の短い仮眠であれば、午後の眠気が抑制され、夜間睡眠も妨げないことが分かっている(図)」(中田教授)。

睡眠不足状態にした11人の健康な若い男性が、30分の仮眠を取る群、取らない群に分かれ、免疫にも関係する炎症物質の量を見た。すると、仮眠を取った群では、過剰発生すると全身の炎症(サイトカインストーム)につながることもあるIL-6(インターロイキン6)が抑制されたという研究もある[10]。

リモートワークの日であれば、誰にも気兼ねすることなく休息を取ることができる。仮眠は、頭をすっきりさせ、仕事の効率も上げる(図)。賢く仮眠を取り入れよう。

8人の労働者を、昼15分の仮眠を取る群、取らない群に分けて覚醒レベルへの影響を見た。仮眠をとる群はリクライニングチェアで12時30分に15分の仮眠を取った。仮眠を取った群は仮眠なしの群と比較して午後の覚醒レベルが有意に高くなった。夜の睡眠への悪影響も見られなかった。(データ:Ergonomics. 2004 Jul 15;47(9):1003-13. )

3 朝食を取り、夜は寝る1時間前から準備を

規則的な食事は体内時計のリセットに有効だ。「特に、朝食を決まった時間に取ることによって臓器や末梢の体内時計が“朝だ”と認識し、効果的にリセットされる」(中田教授)。

寝る前には準備の時間を取りたい。「寝る1時間前から、自分なりの“就眠儀式”を取り入れると良い。過去を思い出して、これをやるとよく眠れた、というものを実践し、継続してみる。私の場合は、背骨のストレッチと白湯を飲む習慣を実践している。起床後しっかり日光を浴び、眠るときには部屋を完全に暗くすることも睡眠の質を高める」(中田教授)。

「睡眠の質の向上」を助ける機能性表示食品も、現在200種類以上発売されている。関与成分はアミノ酸や乳酸菌などさまざまだが、中には、社会的時差ぼけの調整を意味する「休日明けの心の健康の維持をサポート」と表示されたアスパラガス抽出物入り商品もある。「さまざまな機能性成分が登場しているが、治療のためではなく補助的に使ってみること、また、自分に合うかどうかを常に見極めながら試してみるといいだろう」(中田教授)。

取り入れられそうな対策から実践し、睡眠リズムをできるだけ規則的に保つように意識しよう。感染リスクに気を付けたい今こそ、健康を支える睡眠の重要性を見直したい。

[10]J Clin Endocrinol Metab. 2015 Mar;100(3):E416-26.

(ライター 柳本操)

中田光紀さん
国際医療福祉大学大学院医学研究科公衆衛生学専攻疫学・社会医学分野責任者。赤坂心理・医療福祉マネジメント学部長・心理学科長を兼任。早稲田大学人間科学部卒業、東京大学大学院医学系研究科で社会医学を専攻し医学博士号取得。米国国立労働安全研究所(NIOSH)チーム・リーダー、産業医科大学教授などを経て2018年より現職。社会的時差ぼけ改善のための介入試験を進行している。
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