そもそも欧米企業と比べて、大企業ですら研究開発投資や人材育成費用が少ない日本で、それよりもさらに少ない金額しか費やさない中小企業で、生産性が高くなる要素は見つけづらいのです。

グラフでは山は右に行くにつれてなだらかになっています。これは年収額が増えるにつれ、その金額をもらっている人数が減っているということです。その直接的原因はもちろん出世です。

役職があがるなど、昇進昇格したりすることで年収は増えますが、全員がそうなれるわけではありません。何らかの形での出世競争に勝つことで、高い年収を獲得できるわけです。

中長期的には、自社の生産性を総合的に高めることで、中小企業であったとしても高い年収を実現していくことは可能です。しかしそのためには投資や費用負担が必要になるので、一従業員の立場からは対応ができません。

だからまずは自社の中で出世競争に勝つことを目指すのは決して間違った選択ではないでしょう。

もうかる業界or経営層を目指す

グラフでは年収1000万円超~1500万円以下のあたりに第3の山があります。実数でいうと、令和元年の数値で166万人以上がこの年収帯に位置しています。

考えていただきたいのは、この人数は、給与所得者データの中の5.5%にも達しているという事実です。つまり20人に1人はこのくらいの給与を受け取っているわけです。

そのうち、資本金10億円以上の大企業にいる人の数はおよそ83万人です。ちょうど半分くらいにあたるこれらの人たちは、そもそも平均年収が高い業界の人たちであることが推測できます。広告代理店や総合商社、不動産業などが代表的でしょうか。そしてこれらの業界でなぜ高い年収を支払えるかといえば、それだけ生産性が高いからです。つまりもうかる仕組みがしっかりとできているわけです。

しかし残る半分、83万人の高所得者は中小企業の人たちです。グラフを見ても、企業規模に関わらずこの年収帯で人数が増えていることがわかります。

ではその理由はなんでしょう。

実は中小企業における高年収の人たちとは、取締役などの役員、あるいはそれに準ずる執行役員といわれる人たちです。

ということは、どんな業界、どんな規模の会社にいたとしても、経営層になることができれば高い年収を獲得できるということです。

ではそのためには何をすればよいのでしょう。出世のルールは人事制度を見ればわかります。ということは経営層向けの人事制度を見れば、そのヒントが隠されているかもしれません。

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経営層にロールモデルはない
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