クラブハウスの魅力・難点 しゃべりの腕磨きにも一役

声だけのやりとりだから、クラブハウスは服装や背景を気にせずに済む(写真はイメージ) =PIXTA
声だけのやりとりだから、クラブハウスは服装や背景を気にせずに済む(写真はイメージ) =PIXTA

しゃべりを仕事とする者にとって見逃せない動きが起きている。音声だけを使うSNS(交流サイト)である「Clubhouse(クラブハウス)」の出現だ。まだ参加する気持ちになれないが、周りでは参加者が盛り上がっている。彼らの感想に基づいて、「ネット雑談」の可能性を探ってみたい。

既に「日経電子版」にも記事が複数、掲載されているから、大枠を知る人は多いだろうが、ざっくりとなぞっておく。クラブハウスの主な特長は「招待制」「実名で参加」「音声オンリーで画像・動画なし」「自由にルームを立ち上げて、リアルタイムのおしゃべりを楽しめる」などだ。ルームの数が多いうえ、参加者の意識がまちまちなので、感想は一様ではない。今回は参加者A、B、Cの3人から思い思いの感想を聞いた。

参加者A 「クラブハウスは『音声版ツイッター』と呼ばれることがありますが、ツイッターとはかなり違います。むしろ、『夜中の長電話』に近いだべりの感覚。でも、ルームごとの性格も雰囲気もそれぞれに全く異なるから、自分にとって居心地のよいルームを探すことが肝心です」

梶原 「そうなのか。一方的に発信するのではなく、しゃべりが交錯するわけね。じゃあ、リアルな対話に近いな。その場合、だらだらと締まりのない会話が続いたりはしないのかな。まさに長電話のように」

参加者A 「おっしゃる通り、ぐだぐだのトークになることもありがち。もっとも、まだ始まったばかりのこともあって、今は割と語り手がテーマに沿って、しっかり筋道をキープしている感じがあります。ただ、この先、もっと参加者が増えてきたら、テーマ抜きのだらだらトークが増えるかも」

梶原 「ぐだぐだのしゃべりを録音されて、よそで公開されるのは困るなぁ。うっかりしたことは言えなくなっちゃう」

参加者A 「その心配はご無用。ルール上は録音や転載は禁じられているはず。しかし、厳密に守られているかどうかは分からないし、知り合いが聞いている可能性もあるから、油断のしすぎは禁物。でも、むしろ、メリットのほうが多いと感じます。立場の異なる人とフラットに意見を交わすことができるのは新鮮な体験でした」

梶原 「外野からみている限りでは、そのあたりの感触が分かりにくいな。フラットというのは、どういう意味なの?」

参加者A 「たとえば、ある分野の専門家がモデレーター(運営者)になっているルームでは、プロ同士が集まって、かなりコアな話を繰り広げていることがあります。マネーやICT(情報通信技術)のルームが多く、企業の会議を部外者が傍聴しているような気分になれます」

梶原 「すごいね。でも、レベルが高すぎて、議論についていけないようなことはないのかな」

参加者A 「あると思います。でも、別にオーディエンス(聴衆)として耳を傾けているぶんには困ることはないでしょう。本当に退屈なら、退出すればいいだけだから。興味が持てそうなルームはほかにいくらでもあるはずです」

梶原 「ルームに入っているオーディエンスが発言することはできないの?」

参加者A 「できますよ。挙手ボタンを押して、発言したいという意思を示せば、モデレーターの承認を受けて、会話への参加を認めてもらえます。その先は対等の立場で発言できます。このフラットな関係もクラブハウスの持ち味です」

梶原 「リアルの対話では会議でも雑談でも、立場やキャラクター次第で互いの立ち位置が異なることが多いけれど、クラブハウスではもっとフラットなの?」

参加者A 「顔が見えない、声だけのやりとりならではの長所だといえると思うのですが、話者同士の関係は割と同格に近い気がします。たとえば、ある職業を目指す高校生と、その仕事のベテラン社会人が対等に語り合うようなことも起こり得ます」

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