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職場の仲間の食事をまとめてテークアウトする新システム「JOY弁」の利用イメージ

テレワークが推進されているとはいえ、接客業や製造業など、実際に人が出勤せざるを得ない業種も少なくない。出社している従業員に対して、コロナ感染リスクを減らしながら食事の補助をしたいというニーズに応えるのが、Offisis(東京・目白)の弁当注文プラットフォーム「JOY弁 企業向け食事補助パッケージ」だ。

「JOY弁」とは、飲食店のテークアウトメニューを同僚や知人に受け取ってもらうことで配送コストを抑えたフードデリバリーサービスのこと。社内の従業員など、信頼関係のあるコミュニティーの中で、消費者同士がほかの用事で移動するついでに物を届け合う「ソーシャルデリバリー」と呼ばれるモデルで、すでに欧米で普及している。外出を控え、3密を避けたいコロナ禍の現状にもマッチするサービスだ。

まず、従業員が専用アプリから会社の近くにある「JOY弁」加盟店を検索し、テークアウトメニューを選択。次にアプリに登録されている「代表者」(社内の同僚)に受け取りを依頼する。飲食店側には注文内容が送信されるので、代表者は依頼されたほかの従業員の分も含めて商品を受け取りに行く。代表者には注文金額合計の10%分のポイントが付与され、次回注文時に利用できる。つまり、会社の代表でおつかいに行って、その分ちょっとしたお駄賃をもらうような、ユニークなシステムなのだ。

「JOY弁」のアプリ画面。店舗とメニューを選び、買いに行く代表者を選べば注文完了

アプリ内で決済は済んでいるので、買い物前に代金を徴収したり、後で割り勘したり、といった手間は不要。食事の購入費は、企業側で全額負担したり、企業の負担額を差し引いてそれぞれの従業員の給与から天引きするなど、各社で補助を行っている。

代表者1人のみが移動するため、複数人で連れ立ってランチに出かけることで発生する「エレベーターや飲食店内での密」などが避けられ、また一般的なデリバリーサービスを利用して第三者が会社を出入りすることもないため、感染リスクを極力抑えながら飲食店のテークアウトランチが楽しめる。

「JOY弁」の利用は強制ではなく、希望する従業員のみ利用している企業が多い。1回の購入ごとに、企業側で商品代金の負担率を変更することも可能だ。1カ月の企業補助上限額も自由に設定することができる。企業側の負担は商品代金のみで、Offisis側は飲食店から商品代金の10%を手数料として徴収する。既存のデリバリーサービスの手数料は30%前後が主流なので、飲食店側の負担が減らせるビジネスモデルになっている。

日本に普及しているフードデリバリーサービスの手数料・配送料の高さに疑問を抱いていた同社代表の田野宏一さんは、「宅配コストを抑えられれば、飲食店が支払うコストも安くなり、企業の補助額や従業員の負担額も抑えられる。飲食店・企業・従業員の三方よしのサービスを提供したいと考えました」と話す。まずは20年8月から一般のオフィスワーカー向けにサービスを開始し、同11月から企業向けサービスを始めたという。

「企業の食事面のサポートはもちろん、コロナで活気を失ってしまった飲食店の支援にも『JOY弁』を役立てたい」と話す田野さんは、現在は栃木県佐野市と提携し、同市内の企業や飲食店にサービス登録を推進中だ。利用者の多い都心だけでなく、フードデリバリーがまだ発達していない郊外エリアでの利用拡大も目指している。

テレワークが義務付けられ出社できない人、自宅にいたくても出社せざるを得ない人、企業によっても従業員によっても事情はさまざまだが、コロナをきっかけに多様化する福利厚生のニーズに合わせて、社食代替サービスが充実してきている。幅広い選択肢の中から企業に合わせたサービスを選ぶことが、従業員のモチベーション維持や健康面のフォロー、ひいてはコロナ禍で落ち込む飲食・食品業界の支援にもつながるかもしれない。

(フードライター 古滝直実)


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