Googleフォト 「無料で容量無制限」終了でどうする?
写真や動画をクラウドに保存し、端末を問わず見られるようにする「グーグルフォト」。無料で無制限に使えるため、バックアップ先として利用している人も多い。ところが、「容量無制限」は21年5月に終了。無料分は最大15ギガに制限される。有料プランに移るべきか、ほかのサービスに引っ越すべきか……。今のうちにしっかり研究し、準備をしておきたい。
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月間のユーザー数が10億人以上(2019年時点)に達するという写真・動画向けのクラウドサービス「Google(グーグル)フォト」。15年のサービス開始以来、無料かつ容量無制限でアップロードできることから人気を集めてきた。だがグーグルは20年11月、21年5月末で容量無制限のサービスを終了すると発表(図1)。ユーザーからは落胆の声が上がった。それでも8割以上のユーザーが3年は無料分の容量でまかなえるとグーグルは主張するが、グーグルフォトの魅力が激減したといっても過言ではない。
容量無制限は5月いっぱいまで、以降は15ギガまでが無料
グーグルフォトにアップロードする際、画質は「元のサイズ」と「高画質」のどちらかを選択できる(図2、図3)。「元のサイズ」はオリジナルのままなのに対し、「高画質」は一定以下のサイズに圧縮される。これまでは「高画質」を選べば制限なく保存できたが、6月以降は容量がカウントされ、利用可能な容量の上限までしか保存できなくなる。例外はグーグル製のスマホ「Pixel(ピクセル)」シリーズ。実際、スマホ用の「フォト」(iOS版では「グーグルフォト」)アプリの設定メニューも他社の端末と一部異なっている。
無料ユーザーに割り当てられているストレージ容量は15ギガ。ただし、これはグーグルフォト単独でなく、「Gメール」や「グーグルドライブ」との合計の容量だ(図4)。フォト以外のサービスも利用している場合は、フォトで使える容量はさらに減る。
放置アカウントに要注意、削除される前に対策を
グーグルによる6月以降のルール変更はほかにもあり、2年以上放置しているサービスからファイルを削除する可能性を明らかにしている。従って、グーグルフォトに関する注意点は2つ。1つめは2年間利用していない場合。これはGメールやグーグルドライブと別々に判断され、サービスごとにファイルが削除されるという。2つめは容量超過が2年以上続く場合。この場合は、グーグルフォトだけでなくGメール、グーグルドライブも含めたすべてのファイルが削除されてしまうので要注意だ。
ともあれ、5月末まではこれまで通り容量無制限。今のうちに容量を節約したり、まとめてアップロードしておいたりと、対策を講じておくとよい。有料プランへの移行や他社サービスへの引っ越しを検討する時間的な余裕も十分にある。また、クラウドにこだわらず、ネットワーク接続のHDD(NAS)に移行するというのも選択肢の1つ。ユーザーによって必要な容量や予算、機能はさまざまだ。図5にフローチャートを設けたので最適解を見つけてほしい。
ライバル比較 乗り換えるなら機能とコスパで選ぶ
写真・動画向きのクラウドサービスはグーグルフォトに限らない。ならばグーグルをやめて別サービスに移るという選択肢もある。ここでは大手の「アマゾンフォト」と「ワンドライブ」を加えた3つを徹底比較した(図6)。
容量面で魅力的なのがアマゾンフォト。有料のプライム会員向けで、動画は5ギガまでだが、写真なら容量は無制限。すでにプライム会員なら追加料金なしで利用できてコスパが高い。ワンドライブは容量が5ギガと少ないのが弱点だが、オフィスとセットになった1テラの有料プランがある。オフィス利用者なら検討の価値ありだ。だがグーグルフォトも、検索や編集といった機能が充実している点で捨て難い。
そこで機能面も比較してみよう。まずは写真の検索。3者はいずれも人工知能(AI)によって被写体を自動判別してタグ付けしてくれるので、名前などで被写体を探せる。精度はグーグルフォトが一歩リード。写真に特化していないワンドライブは、ウィンドウズ10標準の「フォト」アプリと連携しなければ検索できない。
グーグルフォトの泣きどころがファイル管理だ。アマゾンフォトやワンドライブと異なり、フォルダー単位でアップロードしてもクラウド上では維持できない。写真や動画をほかの人に見せたいときは、3者ともアルバム共有用のURLを発行できる。ユニークなのはアマゾンフォト。プライム会員以外とも写真を容量無制限で共有可能だ。
スマホで撮影した写真・動画を自動でアップロードできるアプリは3者そろう。独自機能では、コラージュ写真やGIFアニメを手軽に自動作成できるグーグルフォトが光る。グーグルマップと連携して撮影場所がわかるのもうれしい。
総合的に見ると、使い勝手はグーグルフォトが一枚上。この機能性を手放したくなければ、有料プランを検討するとよいだろう。
(ライター 五十嵐俊輔)
[日経PC21 2021年3月号掲載記事を再構成]
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