「ひどい目」がトップ鍛える 実績なければ社員離れるバルミューダ 寺尾玄社長(下)

バルミューダ社長 寺尾玄氏
バルミューダ社長 寺尾玄氏

新興家電メーカー、バルミューダの寺尾玄社長は事業拡大を急ぐ。2020年春に米国市場に参入し、同12月には東証マザーズに上場した。バルミューダの売り上げは約125億円(20年12月期)だが、寺尾氏は「今の規模では作れない製品がある」と貪欲に規模を追い続ける。「自分が欲しいかどうか」で開発すると語る寺尾氏は、「挑戦するリーダーはポジティブさが必要。そして本気の仲間が欠かせない」と語る。

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――リーダーに必要な条件は何ですか。

「心身の強さです。それは何度ひどい目に遭ったか、そして何度やめなかったかで鍛えられるのだと思います。人も企業も倒れないから発展できるのです。危機にどれだけ強いかというのは重要です。新型コロナウイルスで厳しい環境の企業もあるでしょうが、倒れないために支え抜くというか、守りきってなんとかするという強さがまさに必要とされていると思います」

「攻めるときも同様ですが、こちらはどちらかというと『ばかさ』が必要かもしれません。大きな挑戦でもうまくいくはず、と思えるような間抜けに近いポジティブさが大切です。私は周りからは『なんでこの人そんなに心配しないの』と思われているでしょうし、自分でもそう思います。今までうまくいかなかったこともたくさんありましたが、この発想はいまだに変わりません」

失敗の連続が上場の糧に

――創業時はどんなことを考えていましたか。

「創業当時は『世界一かっこいいものを作りたい』と思っていました。自分としては世界一かっこいいなと思うものも作ったんですが、これが全然売れません。『またダメだな、でもこれは世界一かっこいいわけではないのかもしれない、また世界一かっこいいものを作ろう』の繰り返しでした。今振り返ると、自分でもばかみたいなんですが、それでも諦めませんでした」

「人が持っている自由を行使して、自己責任で事業を起こして世に問う。やりたいことをやるというのは、創業時や音楽活動をしていた時から変わっていません。起業前に10年間、ロックスターを目指して音楽活動をしていたんですが、結局スターにはなれませんでした。その時は『なんでみんな理解してくれないのかな』と思っていました。自分のやりたいことをやりつつ、人を喜ばせることって実はとても難しいと分かりました。それに比べれば、会社を作ることは覚悟が必要ですが簡単でした」

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