働き方が変わり、スーツを着る機会がグンと減った。服を買い足すなら、何を選んだらよいのか――。服飾評論家の石津祥介さんと、アメカジに詳しいコラムニスト、いであつしさんが、おすすめのカジュアルアイテムを紹介する企画の後編では、味わいのあるザ・ノース・フェイスのアウターやニューバランスのパンツが登場。コロナ禍で後退気味のおしゃれ心に火をつける、絶妙な味付けをした服の数々を前に、着こなしや素材の面白さについて語り尽くした。いでさんならではのアメカジにまつわるエピソード、これからしてみたいスタイルなども聞いた。(この記事の〈上〉は「セーター、バンダナ、軍モノ…今こそ映えるアメカジ」)
服に求めるもの コロナで変化
――リモートワークや自転車通勤の広がりが仕事服のスタイルに影響を与えています。モバイル端末を収められるデザインのアウターが登場するなんて、面白い現象も見られます。
いで「世の中がコロナになってからなるべく手ぶらでいたい、と思うようになりました。これはポケットがたくさん付いているものがほしくなって、手に入れたベストです。ベースはハンティングジャケットです。カットソーの上に、こういうベストを1枚着ると、少しだけドレスアップします」
石津「なんとなく、それらしい、じゃなくて、本物を着ればいいのに。これがフィッシングベスト。着るポケットというか、獲物を入れるポケットも背中にある。水につからないように、丈は短め。機能美があるでしょ。釣りは僕の趣味だけど、形から入ったの。こういう格好をしたいから釣りを始めた」
――そのベストに合わせるカットソーではユニクロが登場します。
いで「昨年夏の取材時に、急に長袖が必要になって、ユニクロの店に飛び込んでロンT(長袖のTシャツ)を買いました。するとデザインがとてもいいことが分かりました。こちらのロンTは静岡のお店のオリジナル。もともとTシャツは企業のロゴなどを入れる宣伝用で、そこにしか売っていないようなものがいい。リモート飲み会では、これくらいの目立つ絵柄が楽しい」

石津「長袖のTシャツは僕がアイビーをやっていたころはなかった。Tシャツは袖がないからTの形なのだが。薄手のトレーナーだね」

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