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立川談笑、らくご「虎の穴」

そうだ習字を始めよう 真打ちになる日のために立川吉笑

2021/1/31

立川談笑、らくご「虎の穴」

画像はイメージ(PIXTA)
画像はイメージ(PIXTA)

いきなりだが、今年から習字を始めることに決めた。

「書道」でなく「習字」。書の道を究めんとするのでなく、単純に字の書き方を習うほうのやつだ。36歳で習字を始めるのは遅すぎる気もするけど、そうせざるを得ないくらい僕の字は汚い。

色紙を頼まれても

字が汚いのは僕にとって大きなコンプレックスの一つだ(余談だがもう一つの大きなコンプレックスは足が極端に短いこと)。

落語家という商売柄、主催者やお客様から色紙を書いてほしいとお願いされることが少なくない。その都度、自分自身が「こんな字しか書けなくて申し訳ない」とがっかりしてしまう。

本当だったら「芸は人なり」みたいな粋な一言を添えて行書体でサラサラと署名して、横にそっと千社札を貼ったすてきな色紙を作りたいけど、どれだけ粋な一言を添えても、そもそもの字が汚いから野暮(やぼ)ったくてしょうがない。

「僕のサインはもともとこんな感じなんです」と殴り書き風に署名していたこともあったけど、そのとき問題になるのは宛名で、どれだけそれっぽくサインしたところで「松岡真樹さんへ、と宛名をお願いします」などと言われた瞬間に、根本の字の汚さがバレてしまう。もっと言えば日付を書くだけでもバランスが悪くて、字が下手だとバレてしまう。

それにしてもなんで自分はこんなに字が汚いのかなぁと考えたときに思い当たる節が1つあった。それは小学校低学年の頃に通っていた学習塾でのこと。その塾は簡単な問題が並んだドリルをひたすら解くというスタイルだった。決められた時間に何ページ進められるかというようなカリキュラムで、負けず嫌いだった僕は友達に負けないように猛烈な勢いで問題を解き続けた。

結果的に僕の問題処理速度はみるみる向上して、調子がいい日には友達の倍の量をこなせるようになっていた。みんなが10ページ進める間に、自分だけは20ページ進んでいるみたいなこと。

この時身につけたものが糧になっているようで、大人になった今でも簡単な作業を素早く処理することに長(た)けている自覚がある。

一方で、とにかく早く問題を解くことに必死で、答えを殴り書きし続けていたあの頃の経験が、いまの字の汚さにつながっているのではないか。

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