
「マカオやシンガポールなどアジアの都市では流行っているものの、まだ東京には少ない中華バルを丸の内に作りたいとオープンしました。本格中華をつまみに気軽にお酒を楽しめる新業態です」(総責任者の森田法義さん)
隣の「YOTTERIA GAKU(ヨッテリア ガク)」へ。アジアから一転、ヨーロッパに飛んできたようだ。イタリアの中部地方マルケ州で修業を積んだ、オーナーシェフの小林岳さんの料理をイタリア全20州のワインと味わえるトラットリア(イタリア語で大衆食堂)だ。大阪で長らく営業していた人気店だったが、丸の内テラスの開業に合わせ移転。まだオープンから間もないが、大阪時代のファンや「以前大阪で食べて、今回の東京進出を聞いて来た」という客がすでに訪れているという。

小林シェフは豚肉が得意で「自家製ソーセージ」や銘柄豚のロースト、豚肉の希少部位のグリルなどがメニューに並ぶ。ディナーのみ注文できる「イベリコ豚 ホホ肉のラグーソース 自家製タリアテッレ」(1600円、税別)をいただいた。もちもちの自家製パスタに濃厚なラグー(肉を煮込んだソース)がたっぷりからみ、深いおいしさに感激。この日、筆者はすでに結構食べており、まだ続けて食べなければいけないのにフォークを運ぶ手が止まらない。イタリアの風景画が飾られた優雅な店内も居心地が良い。これは女性が大好きな店だろう。
「店名のヨッテリアは、トラットリアに『寄ってみて』『酔っ払って』をもじった造語です。格式張ったスタイルでなく『丸の内のイタリア食堂』の感覚で、料理とワインを楽しんでいただけたらうれしいです」(小林さん)
フランス・パリを代表する有名レストランの一つ「タイユヴァン」も、老舗名店のサービスやクオリティーを気軽に楽しめるカジュアルダイニングとしてお目見えしている。ワインとそれに合わせたビストロ・ブラッスリー料理が味わえる「ESPRIT de TAILLEVENT(エスプリ・ド・タイユヴァン)」だ。こちらは、当欄で詳説しているので、「老舗の味とワイン手軽に 丸の内テラス・タイユヴァン」をお読みいただきたい。

5店目は、本格的なパエリアやタパス(小皿料理)とワインを提供するスペイン料理店「バル ポルティージョ デ エスパーニャ」だ。「スペインバルは都内にたくさんありますが、タパス発祥の地で、スペイン最古のバルがあるアンダルシア地方に行って研究し、現地のバルを再現したのが当店です」(マネージャーの幸地ディエゴ エドアルドさん)
店名の「ポルティージョ」とはスペイン語で扉や入り口の意味。ドアを開ければそこはスペイン、という店づくりを目指したそうだが、土色の壁に高い天井、壁の一面にワインボトルが飾られた様は圧巻で、スペイン現地で飲むとこんな気持ちになるのかな、とイメージが浮かぶ。雰囲気だけでなく味も自慢で、代官山や銀座、中目黒にある系列店ではミシュランガイドのビブグルマンを5年連続で獲得している店もあり、同じメニューをここでも食べられる。