コロナ禍で、お笑い界にも大きな変化が訪れた2020年。19年に引き続きバラエティでは第7世代芸人の活躍が続いた一方で、若手のみならず石橋貴明、東野幸治、さまぁ~ず、かまいたちといった中堅から大御所までもが一気にYouTubeに進出した年でもあった。

そんな彼らに先駆けて、2年前からYouTubeに進出していたのがジャルジャルだ。チャンネル開設以降、毎日アップし続けたネタ動画が20年8月に1000本を突破。YouTubeでの反響もネタ選びの参考にし、9月にはコント日本一を決める『キングオブコント』で見事王座を手に入れた。17年の『M-1』では悔し涙を見せていた福徳が、この大会ではうれし泣きした。
優勝の涙は、卒業式の涙
福徳 『M-1』で泣いたのは、絶対に優勝できると思っていたから、「またアカンかったか」っていう悔しさと悲しさで、もう我慢しきれなくて。今回の『キングオブコント』は単純にうれしくて、気付いたら自然に涙が出ていました。
後藤 うれしいのはもちろん、ホッとしたっていうのも同じくらいあったな。
福徳 うん。うれしさもあり、寂しさもあり。卒業式の涙みたいな感覚。「やっと終わった!」っていうのと、「いよいよ中堅芸人になったな」という両方の気持ちがありました。
後藤 今までの『キングオブコント』との違いでいうと、20年は単独ライブができなかったんで、ネタ選びの選択肢がいつもより少なかったんです。迷わずに行けたのがよかったのかな。決勝の1本目の「野次ワクチン」は、19年の単独ライブツアーで手応えのあったネタを少しずつブラッシュアップしたもので。
福徳 2本目はYouTubeで反応がよかった、「空き巣するのにタンバリン持ってきた奴」というネタが基です。
後藤 反応のよさと、自分たちがやりたいネタが一致したので、これでいこうと。僕ららしいネタで優勝できてよかったです。
YouTubeとの出合いは彼らにとって大きく、今では「活動の中心」になっているという。その魅力についてこう話す。
福徳 YouTubeを始めたときは、撮影にかかるお金のことなんて1ミリも考えず、「毎日アップしませんか?」と言われて、「するする!」って二つ返事だったんです。
後藤 「ネタができるんやったらそれでええ」っていう。
福徳 無料で見せることで「ネタが消費されてしまう」みたいな心配も一切せず。YouTubeにアップしているネタは、名刺みたいなものっていう感覚です。
後藤 もともとは、ボツネタをそこで成仏させるような意味合いもあったんでね。それを続けていたら、活動の中心になってきたという。ジャルジャルを知るにはYouTubeを見るのが1番早い。
福徳 少人数でできるから、ほんまにやりたいことがあるならYouTubeはいいですね。芸人がどんどん進出してきたのも当然のこと。いろんな考え方があると思うんですけど、僕らはYouTubeがあることで、「やりたいことだけをやる」っていう戦略に切り替えられたのが大きいです。