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味の素社長 西井孝明氏

味の素社長 西井孝明氏

味の素の西井孝明社長は働き方改革を推し進める。管理職へジョブ型雇用制度を導入したほか、労働時間の短縮にも取り組んできた。西井社長は「味の素には典型的な大企業病の兆しがあった」と分析、「生産性を改善するにはD&I(ダイバーシティー&インクルージョン、多様性と包括性)が重要」で、自己変革がカギと指摘する。味の素の生き残りと成長のため、組織の若返りが不可欠だと説く。

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――社長に就任した時、どう感じましたか。

「ブラジル子会社の社長から戻って、味の素の社長に就いたのですが、とても危機感を持ちました。日本の味の素に、典型的な大企業病の兆しが見えていたからです。具体的には2つです。1つは味の素単体の生産性が低い点です。売り上げは伸びないのに、費用はどんどん膨らんでいました」

「最大の要因は長時間労働です。2013年まで味の素で人事部長として、労使でワークライフプロジェクトを進めていました。当時の総実労働時間は長かったのですが、それでも職場によって長いところと短いところでバラつきがありました。ところが15年にブラジルから戻って調べてもらったら、全職場おしなべて長いのです。平均で年間2100時間、働いていました。管理職も一般職も、男性、女性を問わず、ほぼこの水準でした。『これは大変なことが起きている』と思いました。はっきり言って、仕事の質が劣化していると感じました」

「もう1つは成長性が鈍っていました。本社の人材が均質化してしまって、しかも同じ方向を向いている。だから、生産性が低かったんです。一例を挙げると、過去15年以上、新卒採用の3~4割を女性が占めているのに、女性の管理職は6%にとどまっていました。普通の会社なら、15年も働けば皆、基幹職にエントリーしようとするはずです。それなのに、こんなに女性管理職の比率が低いのはなぜか。女性がどんどん辞めてしまっているか、手を挙げなくなっているかのどちらか、ということです。非常に危機感を持ちました」

――味の素は女性が多く活躍しているイメージがあります。

「D&Iを進めるときに、グループ会社の事業成長と女性の活躍の関係について、12~19年のデータを当時の人事部長と調べたのです。海外の優秀な企業と比較しても仕方ないので、味の素グループ内で比較しようと日本、タイ、米国、ブラジルの各味の素の年間平均成長率や女性のマネジャー比率、女性役員比率、国内総生産(GDP)を比べました。すると女性マネジャーの比率が一定以上上がっていて、女性役員がいる企業が成長していることがわかりました。データを基に相関関係があると判断したので、根拠に基づいてD&Iを進めている、と説明しています」

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