ポルシェ、国内初の体験型施設 千葉で有名コース堪能

日経クロストレンド

2021年晩夏に千葉県木更津市にオープン予定の「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」の完成予想図。伝統工芸品の江戸切子をモチーフにした
2021年晩夏に千葉県木更津市にオープン予定の「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」の完成予想図。伝統工芸品の江戸切子をモチーフにした
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ポルシェジャパンは、2021年晩夏に千葉県木更津市に開業する国内初のブランド体験型施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター(PEC)東京」の詳細を発表した。投資額は約50億円で、複数のドライビングコースやレストランなどがありポルシェブランドを満喫できる。

世界で9番目、初の立体構造

PEC東京はシルバーストーン(英国)、アトランタ(米国)、ル・マン(フランス)、ライプツィヒ(ドイツ)、ロサンゼルス(米国)、上海(中国)、ホッケンハイム(ドイツ)、フランチャコルタ(イタリア、21年開業予定)に次ぐ、世界で9番目の施設。社会情勢を考慮しながら、国外からも積極的に集客する予定で、年間来場者数は1万人以上を見込んでいる。

PEC東京が有する周回距離2.1キロメートルのコースには、ニュルブルクリンク(ドイツ)のカルーセルや、ラグナ・セカ(米国)のコークスクリューなどの有名コーナーを再現したエリアがある。最大の特徴は、これまでのPECが平面的(二次元)トラックだったのに対し、PEC東京は地形を生かした唯一の立体構造(三次元)トラックで、高低差のあるドライビングが体験できることだ。

周回コースのほかにも、この特徴を生かしたオフロードコースやドリフトコースなどのトラックコンテンツを併設し、ポルシェ車の性能を最大限まで堪能できる。専属インストラクターによる実践的なレクチャーも充実しており、安全な走行技術を習得することもできる。

施設内には、ラウンジやレストラン、本格的なレーシングシミュレーターもありドライバー以外もブランドを身近に体感できる。ミーティングルームやイベントエリアも設け、企業やグループ利用にも対応する。

投資規模は約50億円。ポルシェジャパンのミヒャエル・キルシュ社長は、「(PEC東京は)今後何十年と続いていく取り組み。長期的に規律正しくコントロールしたい。ポルシェという憧れの車について話をいくら聞いても、本当に恋に落ちる瞬間は実際に乗ってみないと分からない。それを体験してもらえるエキサイティングな試乗体験を提供したい」と話す。

広大な敷地には、地形を生かした世界初の立体構造トラックのほかに、室内施設も充実している(画像は完成予想図)

自然環境保全で協定締結

キルシュ社長は木更津市を選んだ理由として、「羽田空港から30分で到着できる国内外からのアクセスの良さと、土地の広さ」を挙げた。

その一方で、自然環境保全にも配慮。千葉県の自然環境保全条例に守られた木更津市の緑豊かな自然環境を最大限生かして施設を作ったという。20年6月15日には同条例に基づいて千葉県と「自然環境保全協定」を締結。自然の保存や植生の回復などへ適切な措置を講じる。

今後は伐採樹木を定量的に把握、公開するなど、積極的な情報開示を行うとともに、湿地に生息する希少植物の生育保全のため、専用の保全地や湿性生物保全エリアも新設する予定だ。

キルシュ社長は、「持続可能な未来を作るため、人と自然が調和した都市を構築し、次世代に継承していく。ポルシェの未来志向と合致する考えだ」とコメント。グローバル企業にとって命題ともいえるSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みにも意欲を見せた。

ポルシェジャパンのミヒャエル・キルシュ社長は、森田健作千葉県知事(右)と渡辺芳邦木更津市長(左)との間に、「千葉県及び木更津市とポルシェジャパン株式会社との協力に関する覚書」を締結した

19年には10年連続でポルシェの販売台数が増加した日本で、特に若年層の潜在的顧客の開拓を狙うPEC東京。コロナ禍での痛手はあるものの、世界での売り上げが前年同期比5%減に落ち込んだ20年1~9月期も、国内市場は同約5%増加した。

ポルシェ初のEV(電気自動車)スポーツカー「タイカン」にも試乗できるとあって、国内ファンのみでも十分な集客は期待できるだろう。長期的に観光スポットとして成長させていけるかどうかは、コロナ禍が落ち着いた後、海外からの集客をどれだけ伸ばせるかが鍵となりそうだ。

(ライター 北川聖恵)

[日経クロストレンド 2020年12月15日の記事を再構成]

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