ミレニアル世代を魅了 米国発のラグジュアリーカード

日経クロストレンド

「ラグジュアリーカード」は2008年米国で生まれ、16年に日本で、18年からは中国でもサービスを展開
「ラグジュアリーカード」は2008年米国で生まれ、16年に日本で、18年からは中国でもサービスを展開
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マス広告を打たず、リアルでの勧誘もせず、会員数を4年で4倍に伸ばしたクレジットカードがある。米国発の「ラグジュアリーカード」だ。コロナ禍でも会員数は増加し、2020年10月には利用額は過去最高に。希少な優待に加え、会員同士のコミュニティーづくりが躍進の理由という。その戦略に迫った。

メタル製の斬新なクレジットカード「ラグジュアリーカード」を展開するLUXURY CARDは、2008年に米国で創業された。日本には16年に上陸し、日本で最初にMastercardのランク最上位「ワールドエリート」を取得している。年会費は、チタンが5万円(税別)、ブラックが10万円(同)、最上級のゴールドが20万円(同)で、決して安価ではないにもかかわらず、ファン層を拡大。一般的にステータスカードホルダーには50代、60代の経営者層が多いといわれる中、実はラグジュアリーカードは19年に入会した会員の半数近くがミレニアル世代(20代中盤から30代後半の層)という特徴を持つ。

カードは「チタン」「ブラック」「ゴールド」の3種で、全てメタル製

アプリを基点に希少価値の高い限定優待を配信

人気を集める理由の1つが、日本独自の特典と、それを会員に素早く伝える専用アプリの充実度だ。

各国共通のサービスは、メタル製カードであること、コンシェルジュサービス、会報誌など基本的なものだけで、それ以外は国ごとの独自サービスとして提供されている。日本では会員限定の「体験型」優待サービスを豊富にそろえているのが特徴だ。「海外に比べれば、日本はまだ現金決済の割合が高く、決済できるだけではなく、利用者のライフスタイルに沿って、生活をより豊かにするソフト面のサービスの充実を意識している」と、ラグジュアリーカード事業開発本部長の菊地望氏は話す。

通年で利用できるものとしては、提携する映画館や美術館の入場が無料になるもの、スポーツカーのカーシェアリング、リムジンサービス、会社でも自宅でもない「サードプレース(第3の場所)」としても使えるカフェの割引優待などがある。また、東京・銀座の完全会員制バーラウンジが利用できる他、「シャングリ・ラ ホテル東京」や「アンダーズ東京」といった五つ星ホテルでの会員限定ドリンク・フードサービスも用意する。それだけではなく、希少性が高い期間(数量)限定の優待が毎月6~7種類ほど提供される。例えば、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」のスイートルーム特別予約枠。通常なら半年に1度の抽選へ応募して予約できるかどうかという入手困難な「プラチナチケット」だが、何とラグジュアリーカードが枠を確保し、販売をしている。

これらの優待サービスは会員専用のスマホアプリで確認でき、新しい優待が登録されるとプッシュ通知が届く。「新規の優待サービスなどの情報は頻繁に更新しており、会員の反応も非常にアクティブ」と、菊地氏は語る。

優待サービスの内容は専用スマホアプリで簡単にチェックできる。画像は、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」のスイートルーム特別予約のもの

コロナ禍でも機動的に「在宅向け優待」を拡大

「臨機応変に新しいサービスをタイムリーに出すことを心がけている」(菊地氏)というだけあり、20年春の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言中には、いち早く動画ストリーミングサービスやオンラインヨガの優待サービスを提供。また、外出自粛で苦戦する産地や市場を支援する商品も企画した。例えば、豊洲市場を応援する企画として高級食材を販売したところ、1万~5万円のセットが2日間で120万円分も売れた。

コロナ禍においては、自宅時間を充実させる優待を強化。「応援消費」に対応したプランも

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、利用額に対するキャッシュバック率(チタン1%、ブラック1.25%、ゴールド1.5%)の高さも受け、ECでの利用が拡大した。「国外渡航が難しくなり海外決済は減少したが、国内での決済額は緊急事態宣言解除後の20年6月から復調し、10月には決済額が過去最高に達するなど持ち直してきた」(菊地氏)。ニューノーマルな生活にうまく対応したといえそうだ。

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