2021年はもしかしてサスペンスイヤーかも

(写真:藤本和史)

「僕が踏みとどまった理由は、『やらなきゃ』という勝手な使命感もありました。これまでに演出家の蜷川幸雄さん、監督の青山真治さんや山田洋次さんなどにお世話になって、身近なところだと小栗旬さんなどの大先輩たちの背中も見てきて。直接教わった次の世代の僕らがそこで学んだことを体現してつないでいかないと、途絶えるものもあるよなぁと。勝手に跡取りみたいな気持ちになっている部分もあって『今、僕が逃げちゃマズいよな』と思ったんです。それだけが理由じゃないですけど、真っ先に思い浮かんだのはそこでしたね。もちろん託されているのは僕1人じゃないです。仲間もいっぱいいるし、僕以上に背負ってくれている人もたくさんいます。

それと一概には言えないですけど、芸能界は本当に楽しい世界なんですよ。小さい頃から見ていた『ドラえもん』の主題歌を歌わせていただけるような、そういう夢もいっぱい見させてもらえていますし。一時期『芸能界はしんどい。ブラックだ』みたいな風潮もあったじゃないですか。それに『いや待ってくれよ』と思う部分もあったんで、『じゃあ全力で楽しんでやる!』って。これも勝手にですけど、その姿を見せることが多分、今は必要なことなのかなって思ったんです。今のこの状況から生まれてくるものだってたくさんあるだろうし。

だから、自粛期間中にやったことって、いろいろな方に連絡を取りましたよ。過去にお世話になった監督や友人、洋服屋さん。それで『何ができるだろうね』ということを話しました。それも僕が今後も活動を続けたいと思えた要因の1つだと思います」

その上で菅田が抱く今後の展望を聞くと、「うーんあんまり考えてないんだよなぁ。どうしたらいいと思います?」と言いつつ、次の言葉を紡いでくれた。

「21年に控えている作品で見ると、サスペンスイヤーかもしれません。20年になくなってしまったものもいくつかありましたけど、それでもお芝居三昧の年にはなったと思います。1年間はまた引き続きたくさん頑張って、またタイミングが良ければ海外での休暇を計画しようかなと。

海外でのお芝居にはもちろん興味があるし、最近はアジアなどにも本当に面白い作品がたくさんあるので、日本だけじゃない活動も、いつかはやりたいなと思っています。でも正直『これぐらいのバランスで』とか『この年は音楽だけで、こっちではお芝居だけで』ということは、本当にあんまり考えていなくて。ずっと縁でつながってきたものですから。自分が作りたいなと思うものって、自然とそのときどきに合わせて出合うものなんだと思います。

20年の『糸』『浅田家!』のあったかい映画2作もそう。単純に来た作品の一部分を見てそう言っているだけなのかもしれないですけど、僕の中ではそういうもの。そんな流れはきっとこれからも変わらないので、僕はその都度、順応してやっていきます。それでたまに、100個に1個ぐらい、ちょっと自我を出してエゴをぶちまけていこうかなぁっていう感じですね。音楽もお芝居も」

(ライター 松木智恵、日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2020年12月号の記事を再構成]