キヤノンのプリンター「G3360」 コスト抑え大量印刷
今回の目利き 森谷健一氏
今回紹介するキヤノンの「G3360」は印刷コストを抑えつつ、本体価格も手ごろなプリンター複合機だ。パソコンやスマホからの印刷だけでなく、スキャンやコピーにも対応する。
初期設定はインクをタンクに注入することから始まる。インクボトルの蓋を開けて差込口に差し込むだけでよい。パソコンとの接続設定も非常に簡単。無線接続の場合、パソコンがWi-Fi接続ならWi-Fiのパスワードを入力する必要はなく、自動的に設定される。
普通紙にカラー文書を印刷したところ、初期設定では同社のカートリッジ内蔵モデルよりやや薄く感じた。顔料インクを採用している黒は、比較的くっきり印刷されるが、その他の色はやや薄めだ。ただ、ビジネス文書であれば、問題にはならないだろう。専用光沢紙に写真を印刷してみたところ、印字品質はカートリッジ内蔵モデルほどではなく、色の再現性が今ひとつで若干の粒状感が残る。
印刷コストは、メーカー測定値によれば、カートリッジ内蔵モデルの10分の1程度。カラー文書は1枚約0.9円、モノクロなら約0.4円。大量に印刷したい場面には頼もしい。廃インクを吸収するカートリッジを自分で取り換えることができるのもいい。廃インクが満タンになると、メーカー修理が必要になる機種が大半だが、本製品では自分で交換できるため、長期にわたって使いやすい。
注意したいこともいくつかある。給紙が本体背面からに限られる。本体下部にカセットを内蔵しないので、用紙補充時に本体背面に手が届きやすいように設置しなければならない。操作パネルはモノクロ液晶で、2行分の表示領域しかない。コピー操作以外では頻繁に使うことはないだろうが、いざ用紙設定などを本体で変更したいときに面倒だ。その他、自動両面印刷やアイロンプリントなど特殊な用紙への印刷にも対応しない。
実勢価格は3万円弱。ビジネス文書など印字品質が高くなくてもいい原稿を安価に大量印刷したい人には、いい選択肢だろう。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2020年12月17日付]
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