ゲーム機の転売過熱 コロナ禍のほかにもう1つの理由

今年はコロナの影響でいろいろな商品が高値で転売されました。3月ごろからマスクが店頭で品薄になりネットオークションやフリマサイトで高額で出品されました。あまりの過熱ぶりに出品規制がかかったほどです。消毒液やマスクを作るためのミシン、小麦粉など幅広い商品が高値で転売されました。家庭用ゲーム機も転売が目立った1年でした。なぜこんなに盛り上がったのでしょうか。

スマホゲームに押され、家庭用ゲームは苦戦している印象があります。でもグラフをみても分かるように、ゲーム機の販売数自体は下がっていません。

ピーク時1台9万円も

そんなゲーム機ですが、今年はコロナによる外出自粛で「ニンテンドースイッチ」がお店で買えなくなるほど人気が出ました。スイッチは2017年3月に発売された据え置き型のゲーム機で小売価格は2万9980円です。据え置きとしてだけでなく、携帯機としても遊べます。

コロナによる外出自粛で自宅にいる時間が増えたことで、需要が伸び8月ごろまで店頭では買えませんでした。社会現象にもなったゲームソフト「あつまれどうぶつの森」など人気作が登場し、「高くてもいいから欲しい」という人が増えました。

緊急事態宣言が出ていた5月のピーク時には1台4万~5万円の値段で取引されていて、高いものは9万円で取引されていたようです。店頭に復活したのは9月。およそ6カ月もの間、オークションサイトでは新品の価格よりも上回って転売されていました。

もう一つの理由

転売市場が盛り上がった理由はコロナにより自宅で過ごす時間が増えたこと以外にもあります。転売市場への参入、つまり市場参加者が増えたんです。これまでもゲーム機に限らず、音楽ライブやイベントのチケットなどを転売する人は一定数いました。それが今年はどうして増えたんでしょうか。キーワードは在宅勤務です。コロナによって普及した在宅勤務で、自由な時間が増えました。通勤時間がなくなるだけで平日1~2時間節約できた人は少なくないでしょう。仕事後の飲み会も減りました。空いた時間を使って、お店の抽選に参加したり、ネットの情報をこまめに拾ったりできる。いわば商品の「仕入れ」にかける時間が増えたのです。

会社勤めの人の中には業績悪化や残業代圧縮で収入が減った人もいます。ちょっとした小遣い稼ぎやプチ副業的な感覚で転売に参入した人が増えたようです。ただでさえ人気のゲーム機。欲しい人が多いのに、さらに「転売のために仕入れる」需要が重なり、転売市場は活況になりました。今回はそれに加えて、スイッチの組み立てを担う工場の多くが中国にあるため、コロナで生産が止まってしまった事情もあります。

スイッチは品不足が解消されつつあります。工場が再開したことで供給が増え、転売価格も下がりました。ただ、米国の10月のニンテンドースイッチの売り上げは前年比の2.4倍になっています。この数字は据え置き型ゲーム機の10月の販売台数としては過去2番目に高いです。好調な売り上げが続けば、再び不足になりかねません。

プレステ5も値上がり

11月12日に発売されたソニーの「プレイステーション5(PS5)」の転売も問題になっています。9月に始まった予約・抽選販売には接続が不安定になるほどアクセスが殺到し、発売前から注目されていました。ゲーム総合情報メディア「ファミ通」によると、11月の売上台数は20万1000台となっています。値段はディスクドライブを備えたモデルが4万9980円、ドライブが無いモデルは3万9980円です。一部のオークションサイトで販売前から出品され30万円以上で出品されたものもありました。ほとんどのオークションサイトは手元に現物がない商品の出品は禁止されているため、出品は取り消されましたが、大きな話題になりました。

ゲーム機に限ったことではありませんが、転売の商品に手を出すには注意が必要です。商品が届かなかったり、注文したものと違うものが届いたりするトラブルがあります。新型の発売直後のゲーム機は初期トラブルが出ることもあり、保証の対象外になる可能性もある転売品を購入するかどうかはよく考える必要がありそうです。

(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
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