2度目の感染あるコロナ 重症化?ワクチンは有効?

日経ナショナル ジオグラフィック社

ナショナルジオグラフィック日本版

2020年11月24日、英国オールダム地区科学センターのガラス窓に貼られたウイルスのポスターと、その前を通り過ぎるマスク姿の男性(PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHER FURLONG, GETTY IMAGES)

新型コロナウイルスには2度感染する。最近では、それが専門家の共通認識だ。今のところ、再感染の報告は世界で数百例とそれほど多くはないが、パンデミック(世界的大流行)が続けばその数字は増えるだろう。

既に感染して「免疫パスポート」を手にしたと思っていた人々にとっては、ありがたくない話に違いない。パンデミックが続く限り、自分には免疫があるのでマスクもソーシャルディスタンス(社会的距離)も必要ないというわけにはいかなさそうだ。2020年10月には、再感染による初の死者が報告された。オランダに住む89歳の女性だった。

他のコロナウイルスと同様に、新型コロナでも時間とともに免疫が失われる可能性がある。また、2度目に感染すると、1度目よりも症状が重くなるケースすらある。

20年10月12日付で医学誌「The Lancet」に掲載された論文の症例によると、4月上旬、米ネバダ州に住む25歳の男性が、のどの痛み、せき、頭痛、吐き気を訴え、検査で新型コロナ陽性と判定された。その後数週間の自宅隔離を経て2度再検査を行い、完全に回復したとされていた。

ところが5月末に再び発症。前回よりも症状が重く、呼吸困難に陥り、緊急治療室で酸素吸入を受けなければならなかった。4月と5月のウイルスの遺伝子をそれぞれ詳しく比べた結果、2度目は再感染だったことが明らかになった。

他の国でも、再感染の報告が相次いでいる。10月に、スウェーデンでは150人に関して再感染かどうかの調査を開始し、ブラジルでも科学者が95例を追跡している。メキシコでは、10月中旬の時点で258人が再感染したとしている。そのうち15%近くが重症化し、4%が死亡した。このデータセットからは、最初の感染で重い症状を示した患者は2回目の感染で入院する可能性が高いことが示されている。

「結論を言えば、再感染は極めて珍しいですが、確実に起こりうるということです」と、米ネバダ州ラスベガスにあるネバダ大学オーダーメード医療研究所の生物統計学者で、論文の筆頭著者であるリチャード・ティレット氏は言う。

感染の長期化ではなく再感染

2度目の発症が再感染なのか、それとも最初に感染したときのウイルスがまだ体内に残っていて、再び増殖したものなのかどうかを見極めるのは難しい。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、症状が回復した後に何週間も体内に残ることがある。

したがって、再感染したかどうかは、患者の訴えや通常のPCR検査だけでは判断できない。再感染であることを明確に示す遺伝子解析が必要だ。

新型コロナウイルスは平均して15日ごとに変異を繰り返す。今のところ、こうした自然の変異はウイルスの性質や悪性度を変化させるほどの大きな変異ではない。しかし、2度目の発症が最初の時と同じウイルスによるかどうかを判別する根拠にはできる。

2カ月後に再び発症したネバダ州の男性の場合も、そうやって1度目のウイルスの残りが再び増殖を始めたものではないと結論付けられた。「2度目のウイルスは、6カ所に変異が見つかりました。ですから、別のところから感染したと考えて間違いないでしょう」と、ティレット氏は言う。

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