まず、スタイルの変化。「標準体重なのにスタイルがいまいち、とか、数年前から体重は変わっていないのに最近体のラインにメリハリがなくなってきた、というときには、明らかに筋肉量の減少が影響しています。引き締まったボディーラインや正しい姿勢の維持には、筋肉が不可欠です。ダイエットをしている人は、体重ではなく、筋肉を増やして体脂肪を減らすことを目標にしてほしい。体脂肪は、筋トレによって減らしていくことができます」(藤田教授)

筋肉が減少すると、同じ体重でもボディーラインがぼやけてくる

体重は同じでも、見た目がすっきりしている人と、ボディーラインがぼやけて太ってみえる人では、筋肉と脂肪の割合が異なる。脂肪は筋肉よりも体積が多いため、同じ体重でもボディーラインにメリハリがない印象になってしまう。ダイエットするなら、体重よりも体脂肪率を物差しにしよう。イラスト=斎藤ひろこ(ヒロヒロスタジオ)

食事制限だけで運動をしない、さらにはたんぱく質が不足するようなダイエットをすると、肌が荒れたり、しわが増えたり、髪が細くなるなど、「老け込む痩せ方」になるケースが多い。頑張ったのに老けてしまうなんて、残念すぎる。

「必要なたんぱく質を補いながら筋肉を増やしていけば、今よりもっと若々しくなることができます」(藤田教授)

藤田教授は、ポーラ化成工業との共同研究で、「筋トレが肌の若返りをもたらす」ことを確認したという。40~50歳の女性に、一方はエアロバイクによる有酸素運動、もう一方は筋トレをする群に分かれてもらい、それぞれ週2回、4カ月間行った。その結果、いずれの群でも皮膚の弾力と真皮の構造が改善したという。「さらに、筋トレ群では、真皮の厚みの増加が確認されました。これは、筋トレによって“バイグリカン”という真皮を構成する成分が増加したためと推測しています。真皮が厚い人は顔のシミやシワ、たるみが少なく、若々しく見えることもわかっています。見た目のアンチエイジングのためにも、ぜひ筋トレに挑戦しましょう」(藤田教授)

つらい筋トレは続かない! 少しずつでも継続が大切

もし筋トレのモチベーションが高まってきたとしても、1~2回やっただけで、もういいかとなってしまいそう。どうすれば継続できるのだろう。

「新しい習慣を作るには、今、すでに習慣となっていることにくっつけるのが効果的だという考え方が注目されています。これは、“Habit stacking”(ハビット・スタッキング)という方法です」と藤田教授。「ハビット」は習慣、「スタック」は、「積み重ねる」という意味だ。

・朝起きて、コーヒーを入れるとき(お湯が沸くまでの間)
・歯磨きしながら
・お風呂に入る前
・トイレから出たら

このような、「決まった習慣と筋トレをセットにする」のが、ハビット・スタッキング。筋トレだけだと忘れてしまったり、面倒になったりするが、「セットでやる」と決めておけば、習慣化のハードルがぐっと下がりそうだ。

藤田教授のお薦め筋トレは、定番の「スクワット」(下イラスト)。

「下半身には、体の3分の2相当の筋肉が集まっています。スクワットでは、この下半身の筋肉を集中的に鍛えるので、効率的に筋肉量を増やすことができます」(藤田教授)。

下半身に負荷を感じながら、ゆっくりと動作を繰り返す。上がる動作よりも、下がる動作に時間をかけよう。「10回×3セット」を目指したいが、「慣れるまでは、1日5回からのスタートでも大丈夫です」(藤田教授)。

「いきなり1日30回、と言われてもハードルが高すぎて続かないでしょう。自分のペースで、たとえば1日5回ならば抵抗なくできそうであれば、それでOK。1日5回でも、365日続ければ1825回。継続さえすれば、1年後には相当の効果が期待できるでしょう」(藤田教授)。

いきなりスクワットは大変そう、と感じる人は、エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使う、いつもより歩幅を大きくして早足で歩くなど、意識的に活動量を増やすことから始めてみよう。

【スクワット】

両脚を肩幅程度に開いて立ち、両腕を前方に伸ばす。イスに座るイメージで、お尻を後ろに突き出しながら腰をゆっくりと落とす。太ももが地面と平行になったらストップし、元の姿勢に戻る。イラスト=斎藤ひろこ(ヒロヒロスタジオ)

「コロナ禍によって屋内で過ごす時間が増えたからこそ、部屋でできる運動にチャレンジするのもお薦めです。スマホアプリやYouTubeなどを検索すると、5分、10分といったプログラムが山ほどあります。ぜひ活用してみましょう」(藤田教授)。

次のページ
筋トレは週2~3回でもOK たんぱく質はセットでとる
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント