目指せ、女性の登壇者3割 多様な意見を引き出す場に

2020/12/1
10月に開催した「アドテック東京」は登壇者の女性比率を3割以上にした(10月29日、東京・丸の内)
10月に開催した「アドテック東京」は登壇者の女性比率を3割以上にした(10月29日、東京・丸の内)

ビジネスイベントや企業の会議で、女性の参加やその割合の目標を明確に打ち出す動きが広がっている。多様な意見を引き出す場にするためだ。公の場に参加する女性が増えることで、若い女性がロールモデルを見つけやすくなるという期待もある。

10月末にイベント開催のコムエクスポジアム・ジャパン(東京・港)が開いた広告・マーケティング業界のビジネス会議「アドテック東京」。女性登壇者の比率が33%と初めて3割を超えた。

アドテックは例年、世界の主要都市で開かれ、日本はアジア最大級の規模を誇る。今回は登壇者211人、来場者6397人が集まった。そんなイベントが登壇者の見直しに動いたのは2年前、親会社の仏コムエクスポジアム幹部の一言がきっかけだった。

「日本の登壇者は男性ばかりだね」。当時の女性比率はわずか6%。来場者の4割が女性で海外からの参加が増えていることも踏まえて、イベントに多様性の観点を入れることにした。

まずは女性登壇者3割を目指して人選を見直した。それまでも毎年、半分は初めて登壇する人にしてきたが、候補者リストに挙がってくるのは大半が男性だった。そこで、アドバイザリーボードのメンバーや過去の男性登壇者に女性を紹介してもらえるように働きかけると、意外にも適任者が多く挙がった。

選考には2倍以上の時間をかけたが、2019年は28%まで増やすことができた。一般的に知名度の低い登壇者が増えたことでイベントに対する評価が下がることも懸念したが、事後のアンケートでそうした不満は皆無だった。

これに自信をつけ、今年はいよいよ3割超えを実現したわけだ。コムエクスポジアム・ジャパンの古市優子社長は「一回登壇すると他のイベントにも声がかかり、機会は増えていく」と今後の変化にも期待する。

同イベントに登壇したアーティスト、スプツニ子!さんは国内外のイベントで話す機会が多い。「米国ではもはや、登壇者に女性が1人だと批判の対象になるくらい。将来について議論する場で男性ばかりが語るのは、座組に問題がある」と指摘する。

先日50人が登壇するイベントに招かれた際に女性はわずか2人だった。もっと増やすよう主催者に働きかけたところ「話せる女性がいない」といわれ、自ら50人分の女性リストを作り送った。「従来のコミュニティーで探しているから見つからない。最近は女性登壇者リストを掲載したサイトもある。まずは開催する側がこの問題に気づくことが大切」と強調する。

では、現実的にどの程度まで増やせばいいのか。イベントの規模や内容にもよるが、政府が女性活躍の目標として掲げてきた30%が一つの目安になるだろう。30%とは、数に気押されず少数派が自由に振る舞えるボーダーラインといわれる。つまり女性が男性の目を気にせず自由に発言できるようにするには、最低でも30%が必要になる。