社会の常識が変わろうとしている

11月に出版したばかりの「給与クライシス」では、コロナショックの影響により、残業代が減り、賞与が減り、昇給が減り、昇進が減ることが確定した事実であると示しました。

その理由は不景気だから、と思う人が多いかもしれません。

しかしそうではない、ということを本の中で記しています。

日本で働いている私たちの残業代が減り、賞与が減る背景には、残業代、賞与がそれぞれ人件費のバッファとして使われてきた、日本社会独自の事情があるのです。

また、昇格が減り、昇進が減る背景には、年功で成立してきた企業の歴史的背景と、それで培われてきた男性中心社会があるのです。

これらの特徴は日本社会独特のものであり、決して世界標準ではありません。

だからグローバル化が進む中で、多くの先進的な人たちが、世界標準の社会に変革しようとしてきました。

けれどもそれらは遅々として進みませんでした。

多くの企業の経営者は、やはり人件費のバッファとして残業代や賞与を使いたいと思っていました。また、年功を認められたい年配男性たちが社会の中枢にたくさんいました。だから世界標準の仕組みを導入していかないと、日本は世界の中でどんどん遅れてしまう、と言っても響かなかったのです。

そこにやってきたのがコロナショックです。

コロナショックがもたらす変化は、例えば次のようなものです。

残業することがあたりまえではなくなります。夏冬賞与よりも年俸が保証されるようになってゆきます。雇用は終身雇用よりも、都度の契約的な側面が強くなります。年功ではなく今求められる能力や成果が給与に反映されるようになろうとしています。

それらの変化こそが私たちの前にある真の「給与クライシス」です。つまり、社会の既得権が縮小し、新たな権利が生まれようとしているのです。

過去の既得権で生きてきた人たちにとってはクライシスですが、これから活躍を目指す人たちにとっては、新しいチャンスでもあります。

だから未来に生きる私たちは、既得権にしがみつくのではなく、新しい権利の獲得を目指して活躍しなくてはいけません。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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