2020/12/3

家計簿アプリや表計算ソフトで記録をつける

続いて支出を確認しましょう。

皆さんは、昨日何にお金を使ったか、思い出せますか? 正確に思い出せる人は少ないのではないでしょうか。支出を確実に把握するには、やはり記録するしかありません。スマートフォンのアプリや家計簿などを使って、簡単に記録しましょう。

たとえば、とある金融機関が提供している家計簿アプリでは、クレジットカードの引き落とし口座を登録すると、その口座の入出金の記録に基づいて、自動で家計簿が作成されます。現金での支出は、レシートをスマートフォンで撮影するだけ。品目や金額が自動で入力されます。入力されたデータは、日、月、年ごとに集計されグラフで表示することもできます。

あるいは、エクセルなど表計算ソフトを利用して記録する方法もよいでしょう。とにかく手間を省くことがポイントです。

また、1週間、1カ月分をまとめて記録しようとすると、作業が多くなってしまいます。毎日、就寝前などに記録することをおすすめします。1日分の支出であれば、5分もかからないはずです。

記録した支出は、月末、週末など、定期的にチェックしてみましょう。これは使い過ぎだな、無駄遣いだったかなというものが見つかれば、次月からはやめることができます。

支出を無理せず減らす方法とは

収入が減るなどして、支出を減らしたい場合は、まずは自分の価値観を確認し、優先順位の低いものからカットしていきましょう。

自分が大切だと思う支出には予算を残し、そうでもない支出は思い切って減らしてみる。削りどころにメリハリをつけることで、暮らしの満足度をあまり下げずに、支出を減らせるかもしれません。

たとえば、車。こだわりがなく、使用頻度も低い場合は、所有することをやめて、カーシェアなどを利用するのも一つの手です。

また、車の保険料は、外せる補償をできるだけ外すことで、安く抑えることができます。なかでも効果が大きいのは「車両保険」です。

車両保険は、相手がいない事故や自然災害などで車が傷ついた場合の修理などを補償する保険ですが、補償される金額は年々減っていきます。車種などによっても変わりますが、新車で購入時には100万円の補償があっても、5年、10年経つと、20万円程度になることもあります。あわせて保険料も安くなっていきますが、補償金額と保険料を比べて、再検討する価値はありそうです。

そのほか、スマートフォンやインターネットなどの「通信費」は余分なプランに加入していないか、生命保険などの「保険料」は必要以上の保障をつけていないか、クレジットカードなどの「年会費」は本当にお得か……など、毎月必ず出ていくお金から見直していくとよいでしょう。

少し話がそれますが、最近、電子マネーが普及しています。その支払い方法が「リボルビング払い(リボ払い)」「ツケ払い」など、複数回に渡っている場合は要注意です。これらの支払い方法は、安くない利息を支払っており、無駄な出費ともいえます。

クレジットカードや電子マネーの支払いは、手数料のかからない「1回払い」か「2回払い」に。それで支払えない出費は、お金を使い過ぎている可能性があります

お金に困った場合は公的な支援の活用を

ただ、それぞれの事情によって、収支の改善が難しいこともあるでしょう。

もしお金に困ることがあれば、積極的に公的な支援を活用してください。

どういった支援があるか、一部ご紹介しましょう。

○「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」

中小企業で働いている人で、新型コロナウイルス感染症の影響により休業させられ、事業主から休業中の賃金(休業手当)を受け取っていない場合は「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」が受け取れます。

給付額は、休業前の平均賃金の約8割(日額上限1万1000円)で、休業した日数分受け取れます。雇用形態は問わず、パートやアルバイト従業員も対象です。申請は厚生労働省ウェブサイト内の「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」のページから、郵送かオンライン(申請開始日は休業した期間の翌月初日)で行うことができます。

○「ひとり親世帯臨時特別給付金」

1人で子育てをしている世帯では、「ひとり親世帯臨時特別給付金」の対象となる可能性があります。児童扶養手当を受給している場合は、手続きは不要ですが、家計が急変して収入が一定水準まで減少すれば、申請することで給付金を受け取ることができます。

○「住居確保給付金」

収入が減少し、住居を失うおそれがある場合は「住居確保給付金」を利用できます。自治体によって金額は異なりますが、東京23区の場合、単身世帯で5万3700円、2人世帯で6万4000円、3人世帯で6万9800円の家賃相当額が、各市区町村から家主に直接支払われます。申請先は、お住まいの市区町村の自立相談支援機関です。

こうした制度は、多くの場合、自分で申請しなくてはなりません。手間ではありますが、市や区のウェブサイトをチェックする、インターネットで検索する、あるいはお近くの区・市役所で問い合わせるなどして、フル活用しましょう。

井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門にし、解説している。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員。経済エッセイストとして活動。近著に「一般論はもういいので、私の老後のお金『答え』をください! 」(日経BP)、「身近な人が元気なうちに話しておきたいお金のこと介護のこと」(東洋経済新報社)、「100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる!」(集英社)、「届け出だけでもらえるお金」(プレジデント社)、「受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル」(宝島社)など