乾杯はどれが正解ですか

テーブルマナーのテキストには「乾杯のときにはグラスをぶつけてはいけない。目の高さに上げるのが乾杯の所作」とどこにでも書いてあります。それが正解です。しかし、映画やテレビなどで、盃(さかづき)をぶつけあい「乾杯!」と叫ぶシーンがよくあるため、「どちらが正解ですか」と聞かれることがままあります。

その昔、ガラス製品は今よりも壊れやすく貴重なものでした。ぶつけ合うなどととんでもない、ということから乾杯は目の高さに上げて乾杯の合図をするだけとなり、正式なマナーとして今日まで続いています。テーブルマナーは、そうした「食器を壊さない、傷つけない」という目的からはじまったものが意外と多いのです。

では、思い切り盃をぶつけ合うという乾杯の仕方は何なのか、といいますと「ローカルマナー」として、ある国や地域、コミュニティーでのみ「是」とされているマナーです。「悪魔など邪悪な存在」をはらうため、豊作を祝う景気づけのためなどにわざと音を立ててる風習が反映されているところもあるのです。そのコミュニティーでは尊重すべき振る舞いですが、一方で正式なグローバルマナーとは区別しなければなりません。

宴会の乾杯。グラスはぶつけないと物足りない?(写真はイメージ)=PIXTA

日本には「宴会マナー」というローカルマナーがありますね。ビールをお酌するときにはラベルを上にして注ぐ、飲み物をついでもらうときにはグラスを両手で持ち上に持ち上げる、など。ここでも乾杯はカチンカチンとグラスを盛大にぶつけ合います。これはこれで、気の置けない日本の宴会というコミュニティーのマナーとして成立しているのです。

目の力で魅力と楽しさをアップ

マナーの話をしていたのに、いきなり目?と思われるかもしれませんが、表情の豊かさは礼節の一つとしてカウントされます。ぼーっとした気のない表情や生気のない眼をした人は、それだけでどこか失礼な印象を持ちませんか? 人に対してどういう表情を見せるかは大事なことです。

会食やオンライン宴会でも、いきいきした表情を見せる人とそうでない人では、周りに与える印象が違います。そしてその会に対してどれくらい良い雰囲気に貢献するかという度合いもまるで違います。特に眼の表情は重要です。

乾杯のときも、目の高さにグラスを上げるタイミングで目礼をしたり、眼でほほ笑んだりするだけで、ぐっと印象的になります。特にマスクで目以外をおおっている時間が多い、この時期。ぜひ目の表情を鍛えてください。目の力が上がると非常に魅力がアップします。最初は、眼を見開いて驚きや感動を表現する表情、少し細めてほほ笑みを表現する表情の2つがすぐに使いやすいので、お試しください。

こんな時期だけに、人は癒やしや気楽さを強く求めます。会食やオンライン宴会でも「無礼講」は結構だと思います。ただ、社会には「礼節」という言葉があります。「無礼講」であれば「礼儀」にはこだわる必要はないが、「節度」は残しておく、と考えるべきです。節度とはきれいな食べ方や、清潔感や衛生観念を示すこと、失礼にならない言葉遣いや思いやりです。パソコンの画面越しであっても、そこは本質的に変わりません。

丸山ゆ利絵
ホテル西洋銀座やアークヒルズクラブなどを経て2010年、経営者などに「ふさわしい存在感」の演出方法を助言するコンサルティング会社、アテインメンツ(大阪市)を設立、代表に就任。15年、ビジネスマンに正しいスーツの着方を指南する「スーツ塾」を開講。 著書に「『一流の存在感』がある人の振る舞いのルール」(日本実業出版社)など。

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