また、スープなどの汁物を飲むときは音に気をつけて下さい。和食のお椀(わん)などをいただくときには多少の音は許されますが、盛大に音を立てるのはタブーです。そして、洋食系のときはさらに注意。スープをいただくときに音を立てると非常に不作法ととられます。人はイヤな音を聞くと、無意識に眉根が寄ってしまいます。「ズズッ」とすする音は生理的に不快感を催す音なのです。「あ、やだな」と会食の相手や周囲に感じさせてしまったら、本当に損です。

ミネストローネなど、実の多いスープは実とスープを一緒に口に入れようとするとすすりこむ音が大きくなりますので、実とスープを分けて交互にいただくとスムーズです。

音と言えば、咀嚼(そしゃく)音も気をつけたいポイントです。音が出やすくなるので、口の中にモノを入れたままおしゃべりをするのはやめましょう。かんでいる最中に舌が上あごにつくと、嫌な音になります。そうならないように注意してください。

今年はリモート飲み会なども多くありそうですが、飲食を伴う場合は、やはり食べ方に注意しましょう。箸を持つ手元などがアップになりやすいし、すする音や咀嚼音もマイクが拾ってしまい通常よりよく聞こえてしまうことがあるそうです。

モニター越しにいろいろ見えたり、聞こえたりしているかも(写真はイメージ)=PIXTA

コートはどこで脱ぎますか

今年は忘年会の数は少なくなると思いますが、それでも何かで会食に参加するとき、食べ方以外でも注意するポイントがあります。私がよく受けるご質問についてお話しましょう。

まず「コートや荷物の取り扱いに注意はありますか」というもの。これには「コートや大きな荷物は本来、食卓の近くには持って行ってはいけないものと思ってください」とお答えします。食卓周りでコートを脱ぎ着したり、大きな荷物を客席に持ち込むのはマナーとしては違反です。

きちんとしたダイニングですと、コートも大きな荷物も入り口、またはその手前のクロークで預かってもらうのが自然な流れとなっているのは、そのためです。傘も基本的に食卓には持ち込みません。基本の所作として会食のときのコートや大きな荷物の取り扱いにはご注意ください。

特にコートは外界のホコリなどから衣服をカバーする目的のアイテム。ですから、入り口付近でできるだけホコリをたてないように静かに脱いで、邪魔にならないよう畳んで持ってから店内に入る、という振る舞いが正解です。これはビジネスマナーでの他社訪問の時と同じです。

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