2020/12/9

この研究のために、アニッチ氏らは米シカゴのフィールド自然史博物館に保管されていたモモンガの毛皮に紫外線を照射した。その際、好奇心から、カモノハシの標本に同じことをしてみたところ、なんとカモノハシも光を放った。

アニッチ氏が研究成果を発表する少し前、別の研究論文で、オーストラリアの路上で命を落としたカモノハシにブラックライトを当てたら発光したという報告があった。ブラックライトは紫外線を放出する電灯だ。

この報告はアニッチ氏の発見の裏付けになり、さらに、死んでから時間がたったカモノハシだけでなく生きたカモノハシもほぼ間違いなく蛍光を発することを示唆していると、オーストラリア、ニューサウスウェールズ大学でカモノハシの研究をするギラッド・ビーノ氏は分析する。「カモノハシにはいつも驚かされます」

紫外線を照射したカモノハシの標本。研究チームのジョナサン・マーティン氏は、紫外線は「すべてのものを紫の光で飽和させるため、肉眼でどう見えるかをカメラで再現するのは一苦労です。黄色のフィルターは紫を減らし、生物蛍光の「本物」の色に近づけてくれます」と説明する(COMPOSITE COURTESY OF JONATHAN MARTIN/NORTHLAND COLLEGE; FROM ANICH ET AL. 2020)

何のために光るのか?

カモノハシが光る理由はわかっていない。

アニッチ氏によれば、カモノハシは夜行性で、泳ぐときは目を閉じるため、仲間とコミュニケーションを取るのに重要な役割を果たしている可能性は低いという。

むしろ、紫外線を見ることができる捕食者を避けるのに役立つかもしれないとアニッチ氏は述べている。紫外線を吸収し、青緑の光を放つことが一種の擬態になるということだ。

ビーノ氏もその可能性は十分あると考えている。鳥類の大部分がそうであるように、多くの動物は紫外線を見ることができる。野生のカモノハシをねらう捕食者には、猛禽類(もうきんるい)のほか、マーレーコッドのような大型魚やディンゴなどがいる。

蛍光を発することに特別な機能はない可能性もある。卵を産むといった原始的な特徴と同じように、この特徴を単に祖先から受け継いだだけかもしれない。

アニッチ氏とビーノ氏は、生きたカモノハシを調べて生物蛍光を確認できれば、機能についても詳しくわかるのではないかと口をそろえる。

ビーノ氏は言う。「こうした発見が明らかになった今、フィールドワークに行くときはUVスポットライトを忘れないようにしなければいけませんね」

(文 DOUGLAS MAIN、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年11月14日付の記事を再構成]

ナショジオメルマガ