2021年消費ヒット予測 キーワードは「掛け合わせ」

JR上越線の無人駅、土合駅がグランピング施設に(群馬県みなかみ町のDOAIVILLAGE)
JR上越線の無人駅、土合駅がグランピング施設に(群馬県みなかみ町のDOAIVILLAGE)

間近に迫る2021年。ニューノーマル時代の消費トレンドは、これまでと一味違うものになりそうだ。無人駅×グランピング、5G×スポーツ観戦と、今までにない掛け合わせがエンタメを進化させる。コオロギフードや配膳ロボットなど、夢だった技術が次々と日常生活に降りてくる。21年のヒットを大胆に予測した。

新型コロナウイルスの影響がまだ続いているであろう2021年。世界中が同時に危機を迎えている今だからこそ、あらゆる産業が知恵を絞った新しいテクノロジーや施設を体験できる。

それを象徴する前例なきエンターテインメントが、ヒット予測第1位の「無人駅&辺境グランピング」だ。1日の乗降客数が数十人レベルの知る人ぞ知る無人駅は、全国に何百カ所もある。何もない田舎には違いないが、鉄道は通っているのだからアクセスは至便。そんな場所で休暇を快適に過ごせる施設が、群馬県みなかみ町の土合駅を皮切りに増える。

小学校跡や耕作放棄地などの遊休資産を活用したユニークな施設が次々とでき、三密を避けられる旅の選択肢が一気に広がるだろう。

20年は、あらゆるイベントが中止に追い込まれた。だが、これからは、リアルでは不可能な特別なオンライン配信サービスが次々と出る。それが第2位の「多視点スポーツ観戦」である。

スタジアムを訪れるメリットは、注目する選手を追う自分だけの見方ができること。この欲求がオンラインでさらに満たされる。好みの視点にワープして観戦できる多視点のスポーツ配信の技術が出てきているのだ。これはライブや演劇などにも波及するだろう。21年に複数の施設でお目見えする「AR(拡張現実)グラス」も、リアルとバーチャルが融合した新しい遊びを提示する。

多くの決済が指先だけで可能になるEVERRING

新型コロナの影響について、1つポジティブな面として、企業がデジタル技術によってビジネスモデルを変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が強制的に進む傾向が挙げられる。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、20年4月の決算発表の場で「この2カ月で、これまでの2年分のDXが起こった」と述べて注目を集めた。

個人レベルでも似たことが起こる。第3位の「ビヨンド副業」はDXの個人への顕著な適用例だ。テレワークが進んだこともあり、副業を認める企業はますます増える。「JOINS」や「Skill Shift」など、オンライン前提の人材マッチングサービスを使えば、自分の知識や技術を、全く別の地域の会社のために提供して対価を得られる時代なのだ。

もはや会社への出社にこだわる必要はない。パソコン内の仮想オフィスに自分を出社させる「バーチャル出社」にするのもよし。ワーケーション気分で地方で働くのもよい。人がどこにいるかはそれほど重要ではない。バーチャルとリアルを使い分け“ダブル”な生き方をする時代にすでになっている。

そして21年には、今以上に「サステナブル(持続可能)かどうか」が重要になる。20年7月の「レジ袋有料化」によって、エコバッグがすぐに普及したのは記憶に新しい。この流れが加速するのだ。

専用ボックスに入った商品を消費し容器を返却するLoopのサービスが日本でも5000世帯限定で始まる予定だ

第4位に入った21年3月にスタートする、米テラサイクルの容器回収・再利用事業「Loop」が扱うリユース可能な容器はどれも洗練されたデザイン。思わず使いたくなるうえに環境に優しいという一石二鳥のアイテムだ。

同様に食のサステナブル化も進む。その例が第5位の「コオロギフード」。環境負荷が低いたんぱく源であるコオロギが、ラーメンやスイーツ、ビールなどバラエティー豊かな食品に使われる。「食べてみた!」という話題がSNSで広がるだろう。(日経トレンディ12月号より再構成 同号にランキング30位まで掲載)

[2020年11月21日付 日本経済新聞夕刊]

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