キヤノン複合機 使い勝手は3万円台半ばの「TS8430」
前々回に昨今のプリンターの進化と選び方のポイントを解説、前回はセイコーエプソンのプリンター複合機について解説した。今回はキヤノンの製品について見ていこう。
キヤノンは、「ピクサス」シリーズとして家庭向けのプリンター複合機を展開。最新モデルの代表格が上に挙げた3モデルになる。A4対応にはさらに上位のプレミアムモデルも用意。加えて、8色や10色インク採用の高画質モデル、印刷コストの安い大容量インクモデルのビジネス向けもある(図1)。仕事中心なら9月に発売された「TR8630」というADF(自動原稿送り装置)とファクス機能の付いたモデルも候補になる。
このようにプリンター複合機の種類が豊富なため、何を基準に選べばいいかわかりづらい。そこで今回は主力であるA4対応モデルを3機種ピックアップ、売れ筋の3万円台半ばの「TS8430」、スマホ連携を強化した2万円前後の「TS7430」、そして格安モデルの「TS3330」の3台で、基本性能や使い勝手の細かな違いを比較した。
まず本体サイズだが、収納時は「TS8430」が最小(図3)。「TS7430」も奥行きが少し長いだけで、幅や高さ、重さもほぼ同じだ。「TS3330」は軽くて良いのだが幅広だ。
次は印刷速度。写真印刷は上位2モデルとTS3330で2倍以上の差が出た(図4)。さらにTS3330のみ、A4光沢紙を扱えない制約も。頻度は少なくても写真印刷をするならTS3330はお薦めできない。一方、A4普通紙のカラー印刷は、文書5枚で2分以内なので仕事に使うだけなら十分許容範囲といえる。
インクと印刷コストも同様、下位のTS3330は一段劣る(図5)。何しろ上位2モデルは、インクが1色ごとの独立型カートリッジなのに対し、TS3330は旧態依然とした一体型。印刷コストも高い。
次は給紙方法。TS8430とTS7430は、前面はA4までの普通紙だけ、背面は写真用の光沢紙やはがきなどを扱える(図6)。TS3330は背面のみで、トレイには用紙の押さえつけるスライダーが片側しかなく、セットしづらく感じた。
モニターも三者三様だ。見やすさでは4.3型ワイドのTS8430が頭ひとつ上だが、スマホのアプリでの操作を前提としたTS7430も使い勝手はそう悪くない(図7)。
インターフェースは図8の通り。TS8430は5GHz帯のWi-Fiも使えるのが利点だ。スキャンは解像度などの基本仕様に違いはあるものの、使えるソフトは同じ。下位機も補正機能を使って文書や雑誌などをスキャンできる(図9)。ただし補正を加えると、スキャン時間が長くなるのが3モデル共通の難点だろう(図10)。
最後にスマホ連携だが、上位2モデルはQRコードで接続設定する機能がある(図11)。連携機能の1つとしては、一昨年からLINEのトーク画面から写真を印刷できる機能もあるが、こちらもTS3330だけ非対応となる。
(ライター 原如宏)
[日経PC21 2021年1月号掲載記事を再構成]
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