日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/12/7

その結果、研究チームは、銀河系全体で太陽に似た恒星のうち、37~60%に温暖で地球サイズの岩石惑星があると推定した。また温度条件に少し幅をもたせてシミュレーションすると、太陽に似た恒星の58~88%がそうした惑星をもつ可能性があるという計算結果が出た。

もちろん、ハビタブルゾーンにある惑星が生命にとって本当に住みやすい場所であるかどうかには、惑星の磁場、大気、水の含有量、プレートテクトニクスなど、多くの要因が影響している。こうした要因を、地球から観測するのは困難だ。

それでも「この論文は、生命が住める可能性のある惑星がどれだけあるかを把握するのに役立ちます」とライト氏は言う。「そして彼らは、これらの惑星の中で最も近いものまでの距離を見積もり、それが地球のすぐ近くにあるという結論に達したのです」。論文では最も近い惑星はおそらく20光年以内にあり、4つの惑星が33光年以内にあるという。

地球外文明の数は?

銀河系内に地球に似た惑星がいくつあるかが明らかになった今、天文学者たちは、ドレイクの方程式の変数の見積もりを進めることが可能になった。とはいえ、「私たちが探知できるような技術を地球外生命体が生み出す確率」や、「そのような文明を探知できる期間」など、残りの変数の多くは特定するのが難しそうだ。

もう一つの重要な問題は、太陽に似ていない恒星も考慮に入れるべきかということだ。実際、太陽よりもサイズが小さく低温の恒星のまわりにも、地球サイズの惑星がいくつか発見されている。また、ケプラー望遠鏡が発見した惑星の多くは大型のガス惑星だったが、惑星以外の天体も考慮に入れるべきかもしれない。「『スター・ウォーズ』に出てくる森林の衛星エンドアや、『アバター』に出てくる衛星パンドラのような衛星があるかもしれません」とライト氏は言う。

ドレイクの方程式のもう一つの変数「生命が居住できる惑星で生命が進化する確率」は、もう少しで明らかになるかもしれない。太陽系探査が進むにつれて、生命が存在しうる場所はどんどん多様になっている。火星や木星の衛星エウロパには微生物が生息している可能性があり、金星を包む有毒な雲の中に生命の可能性を唱える説もある。

ライト氏は「太陽系の複数の場所で生命が進化していたとしたら、その数はまもなく明らかになります」と言う。

地球外生命の例が一つでも見つかれば、生命は偶然の産物ではなく、適切な材料さえあればごく普通に誕生しうるものであることが示される。そして多くの天文学者は、宇宙の中で生命が居住できる惑星の数を考えると、生命の存在は必然だと言ってよいと考えている。

しかし、ドレイクの方程式の最後のほうの変数については、考案者である父の言うように、異星人の声が聞こえてくるまでは謎に包まれている。それが聞こえたとき、私たちは、銀河系で技術をもつ生命を育むのは地球だけなのかという大きな疑問の答えを手にすることになる。

(文 NADIA DRAKE、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年11月10日付]

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