2018年モロッコで開催されたW杯の様子(日本フットゴルフ協会提供)

「ゴルフとサッカーをコラボして新しい大会やリーグを作っちゃうのはどうか?」。20年8月、サッカーの本田圭佑選手がゴルフの石川遼選手と対談した際にSNSに書き込んだメッセージだ。これに「ホリエモン」こと堀江貴文氏が「ぜひフットゴルフの大会を!」と反応し、サポートを明言したことで話題となった。

日本国内にはフットゴルフの常設コースが15カ所ある(20年11月現在)。他国に比べてプレーできるコースが少ないと感じるむきもあるが「これからは、ぐっと増えていきますよ」と日本フットゴルフ協会の松浦新平会長は語る。

ゴルフのように多くの道具をそろえたり、使用法を習ったりすることなく、いきなりコースデビューできるハードルの低さ。パノラマの景色の中で解放感を味わえることもあってリピーターも多い。老若男女を問わない上、400万~500万人といわれる日本のサッカー人口を取り込むことも難しい話ではない。フットサルブームの火付け役でもあった松浦氏の自信はそこにある。

周囲のサポートも充実してきた。JリーグのFC岐阜は19年、専門クラブを設立した。浦和レッズをはじめ、ヴィッセル神戸などもイベントを積極的に開き、普及活動に努めている。

ゴルフ業界からも熱視線

かつては世界有数の規模だった日本のゴルフ人口は低下傾向にある。日本生産性本部の「レジャー白書」(2020年版)によると、ピークの1992年から現在は約6割も減っている。若手女子プロゴルファーの活躍など注目される話題もあるが、なかなか若年層を取り込めていないのが実情だ。「まずはゴルフ場に足を向けてもらうことが大切」とゴルフ場経営者は口をそろえる。

小学生の第1回全国大会が開催された。子供たちの楽しそうな声がゴルフ場に響いた(2020年11月14日、栃木県那須町の那須国際カントリークラブ)

フットゴルフはゴルフ場利用者の裾野を広げる存在として、好意的に受け止められている。20年9月、同協会が公認しているコースのうち6コースの月間集計でフットゴルフの来場者数が2000人を超え、業界関係者を驚かせた。

サッカーがうまいからといって勝てるとは限らないのがフットゴルフの奥深いところ。体の使い方とコースの起伏や風、芝の状態を見極める洞察力が勝敗を大きく左右する。一朝一夕で上達できるものではない。

事実、見よう見まねで日本チームが初参加した2016年W杯で、代表選手の多くが肉離れをおこした。フットゴルファーに適した体づくりができていなかったのが一因だ。メンタルも同様で「ここで入れれば……」という緊張の場面での決定力の弱さは、サッカー日本代表に似たもどかしさがあったという。

そのW杯が21年9月22日から10月3日まで、栃木県さくら市のセブンハンドレッドクラブで開催される。もともと20年に開催予定だったが、コロナ禍のため延期された。大会期間中は各ホールごとに国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)のブースを設けることも検討中だ。観客は新しいスポーツを目の当たりにしながら、世界の課題を学べる大会になりそうだ。

日本にフットゴルフが入ってきて7年。21年のW杯に出場する選手は、世界との差を埋めるため専門家の指導の下で体づくりを強化し、トップアスリートの自覚を胸に生活してきた。地の利を生かせれば、18年の前回モロッコ大会で団体優勝したフランスをはじめ、個人優勝者を出したアルゼンチン、英国や米国など強豪国に一泡吹かせることも十分可能だ。日本代表の鈴木秀成氏も「個人、団体とも優勝しますよ」と頼もしい。団体でベスト16だった前回を上回る成績を誓った。

この大会への周囲の注目は日増しに高くなっている。ゴルフ業界にフォローの風を吹かせるかもしれない。そんな期待まで関係者に抱かせている。

(瀬口蔵弘)

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