設置30秒のお部屋テント 狭い自宅が仕事場に早変わり
ジャーナリストの津田大介氏が、興味のあるモノやサービスを取り上げる本連載。今回は、自宅で集中して作業をしたいときに役立つ簡易テントを取り上げる。テントというとキャンプなどのアウトドアで使うイメージだが、コンパクトなサイズで簡単に設置できるため、最近はテレワークで自宅作業をするスペースが欲しいビジネスパーソンの注目を浴びているという。
手軽に集中部屋がつくれる
ビーズ(大阪府東大阪市)が提供するBauhutte(バウヒュッテ)の「ぼっちてんと」を試してみた。ポリエステル素材の四角いテントで、室内で集中して作業をしたいときに役立つため、テレワークをするビジネスパーソンを中心に注目度が高まっているようだ。
テントの組み立ては大変そうだが、ぼっちてんとはレフ板のようなポップアップ構造で、広げるとすぐに四角くなる。重量は2.85キログラムと軽く、簡単に持ち上げられるため、机の上からかぶせるだけ。実際に使ってみると30秒程度でセッティングできた。
サイズは幅1300×奥行き1300×高さ1500ミリメートルとコンパクトで、日本の住宅事情を考慮した設計になっている。さらに、折り畳める(直径60センチメートル)ので、使わないときは部屋の隅に置いておける。ぼっちてんとに合うサイズのデスクを別途用意する必要はあるが、折り畳み式にすれば、場所を取らずに収納できるだろう。
ポリエステル素材の生地は遮光性が高く、中に入ってみると暗室状態になっている。作業をするにはやや暗いが、天井が開閉できるので、室内の光を取り入れられる。暗さが気になる人は、デスクに設置できる照明などを用意するといいだろう。メッシュ窓も付いているので、外から呼び掛けられた際にも応じられる。
自宅以外でも幅広く使える
持ち運びが簡単なので、自宅の外にも手軽に持ち出して活用できそうだ。屋外での使用は推奨されていないが、例えば、オフィスに置いてもいいだろう。IT系企業では開発者が集中するための作業スペースを設けているケースもあるが、ぼっちてんとをいくつか用意しておけば、満室のときでもサッと広げて簡易的な集中部屋をつくれる。ゲーミングチェアやデスクなど、ゲーマー向けの製品を数多く製造しているBauhutteによると、暗室になるため、ゲーム以外に写真の編集など、クリエイティブな用途でも使われているという。大学の研究室が購入したケースもあるそうだ。その後、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、テレワークをする人が増加。ツイッターなどで話題となり、幅広い層の関心を集めたという。
今は新型コロナウイルスの影響で自宅中心の利用になるだろうが、価格も手ごろなので、一つあれば収束後も幅広いシーンで活用できるだろう。
新型コロナウイルスを機に用途が拡大
これまではオフィスで集中できていた人も、自宅で仕事をせざるを得ないケースが増えてくる。家の中は集中力をそがれる要素が多く、ビデオ会議中の家族の映り込みなど、考慮しなくてはいけないケースも多い。また、家族が家に集まっているときは、それぞれが集中して作業できる部屋を確保するのも難しい。コンパクトに収納できて手軽に作業スペースをつくれるアイテムは、自宅で過ごす時間が増えるこれから、需要が高まっていくだろう。
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。近著に「情報戦争を生き抜く」(朝日新書)
(構成 藤原達矢=アバンギャルド、写真 渡辺 慎一郎)
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