おばたのお兄さん SNSバズる条件「尺は20秒程度」

日経エンタテインメント!

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小栗旬のモノマネで知られるおばたのお兄さん。新型コロナウイルスの影響で、多くの芸人が大打撃を受けたなか、SNSで成功して存在感を示した。自粛期間中に、一気にインスタグラムのフォロワー数を30万人増やした。芸人仲間から一目置かれるようになった彼が考えている次の一手とは。

1988年6月5日生まれ、新潟県出身。2017年頃から小栗旬のモノマネで注目される。フォロワー数はインスタグラムが81万人、ツイッターが19万人。写真のキャップは「昨日(取材は8月中旬)小栗旬さんからいただいたものです」(写真:中村嘉昭)

「緊急事態宣言のタイミングで、本当にスケジュールが真っ白になりました。完全な1日オフは、月に2~3日だったのが、全部休みになって。でも前向きに考えて、それなら“笑い”をテーマに、動画を1日1本、インスタに上げようと決めました。15年頃から、動画は好きで上げてきたけど、さすがに毎日となると、ネタがない(笑)。ゼロから作り出すのは難しいから、学生時代から得意だったモノマネにテーマを絞って。

最初、4月6日に『千と千尋の神隠し』の釜爺をやったんです。エアロバイクのペダルを使ったり、家にあるもので変装して、“ステイホーム”を強めに打ち出して。それまでも50万再生とかはあったけど、急に伸びて、250万再生までいって。これが大きかったです」

もともとおばたには、インスタでの成功体験が2年前にあった。フィットネス女子の「SUZU」というキャラクターだ。

「インスタのユーザーは25歳~34歳の女性が多くて、トレーニング女子はど真ん中世代。鍛えたお尻の写真を、自撮りしてアップするような層にバチンとはまって、1カ月でフォロワーが10万人くらい増えたんです。単純な承認欲求で、『面白くない?』って気持ちでアップしてたんですけど、めちゃくちゃ仕事につながったんですよ。初めてのウェブCMも、持ちネタの小栗旬ではなくてSUZUでした。これが2018年です」

いまや「芸人界のSNS専門家」

「でも『釜爺』の反響は、そのとき以上。要因を考えたんですが、まずはジブリという、誰もが知る国民的作品だったこと。それから、SNSのユーザーは“ながら”で見るので、ベストの尺は20秒程度なんです。『釜爺』は15秒くらいだから、これにも当てはまる。さらに、みんなが強いられている状況の“ステイホーム”を打ち出したこと。この3つを満たしていた。それで、『ちびまる子ちゃん』の花輪くんや丸尾くんなどのキャラを演じ分けた、『男子たちのリモート学習』(180万再生)を作ったりして。この方程式に当てはまるものは、大体再生数が伸びましたね」

この“第2次バズリ期”で、フォロワーが47万人から80万人に増え、ベテランの先輩芸人からも一目置かれるようになったという。

「今田耕司さんに、『おばたはほんま、SNSとかすごいもんな』と声をかけていただいたりして。正直、芸人の世界ではSNSって、軽視されてました。3年くらい前までは、『ネタと自分の賞味期限を短くするようなもんだよ』って、いろんな方に言われて。バカにされなくなったことはデカいですね。

モノマネって、いいサイクルに入ると強くて、今はたぶん、完璧に似てなくても、それなりに見てもらえる(笑)。J.Y. Parkさんや『梨泰院クラス』など、ヒットに乗っからせていただいて」

いまや芸人界の「SNSの専門家」のような立場になり、賞レースのファイナリストにも相談されるように。1年前は、インスタのフォロワーが1500人だった土佐兄弟に、「『高校生あるある』をやるなら、TikTokでやったほうがいい」とアドバイスして、TikTokフォロワー数87万人という人気の陰の立役者となったのも、実は彼だ。そんなおばたが次に考えていることとは?

「YouTubeをしっかりやろうと準備してます。先日、お笑いライブをやったんですけど、70人の定員が満席にならなかったんですよ。オンラインライブも、全然チケットが売れない。ところが、自粛期間に『ストレッチを頑張りましょう』みたいな動画で着ていたTシャツを販売したら、1200枚売れたんです。気持ちを通わせてるところには、お客さんはお金を払うし、集まる。だけど、こちらが発信するだけのものって、難しい。視聴者との距離感が大事になってくるので、YouTubeはそこを意識してやっていくつもりです。

僕、ここ数カ月で『小栗旬以外にもモノマネできるんですね』って、夢に出てくるくらい言われたんですよ。以前は、『これはプロが出すレベルじゃない』って、勝手に制限してたんです。でも意外と、ハマるものもあるんだなって。だから、完成品じゃなくてパーツでもいいから、出していくのも1つの手かなと思います。動画ならそれができるから、新しい笑いの形になりそうですけどね」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2020年10月号の記事を再構成]

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