新築マンションの市場には「値引きの季節」というものがあります。それはマンションのデベロッパー(開発業者)が決算の締めとなる3月末をにらんだ時期です。具体的には2021年の年明けから3月の半ばまでです。
この時期、各社は売り上げなど決算の数字をつくるため、販売中のマンションで売れ残っている「完成在庫」を極力、売りさばこうとします。つまり、値引きをしてでも売ってしまおうと販売活動にいそしむのです。このため、すでに建物が完成しているにもかかわらず販売が続いている新築マンションでは、大幅な値引きが実施される可能性が高まるということになります。
これは新築マンションを購入する側にとってはチャンスと考えてもいいでしょう。
見逃してはいけない「値引きの季節」
これから到来する21年の「値引きの季節」では、例年以上に値引きを引き出せる可能性がありそうです。その理由は、新型コロナウイルスの感染拡大です。
どうやら私たちは21年以降も「ウィズコロナ」の生活を続けなければならないようです。年が明けても、経済活動はある程度制限された状態が継続されるでしょう。さらに、21年はコロナによる不況感がいっそう深まりそうです。
というのも、20年は政府による大胆な景気対策で、不況感は当初予想されたほどは深まりませんでした。株価も一定水準をキープできました。住宅市場でも「テレワーク需要」が高まり、戸建て住宅や一部エリアの中古マンションでは時ならぬ「販売好調」の現象が見られたのです。しかし、こうしたテレワーク需要は一巡してしまえばそれまでです。
「在庫を売り切りたい」危機感覚える業者
コロナで業績を伸ばした企業は少数で、売り上げを減らした企業は圧倒的多数です。個人の所得も同様で、20年の冬のボーナスが増えるサラリーマンは圧倒的に少数ではないでしょうか。むしろ、雇用が継続していることを幸運だと考えるべきかもしれません。