ゾウは年齢、ハイエナは王族 動物のリーダーの条件

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/11/13
ナショナルジオグラフィック日本版

アフリカ東部のウガンダに暮らすチンパンジーの群れ。最上位のオスの中には、力による厳しい支配で権力を維持する個体もいれば、より穏やかな方法をとる個体もいる(PHOTOGRAPH BY RONAN DONOVAN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

ミツバチからイルカ、ゾウに至るまで、野生動物の群れはたいてい1匹のリーダーによって率いられている。人間社会と同様に、彼らが権力の座につく道は様々だ。

チンパンジーは、体の大きさや性格によって、暴力を行使することもあれば同盟を築くこともある。ブチハイエナは、性別や血統によってトップが決まる。いわば君主制のようなものだ。イトヨという魚は、単に外見の魅力で選ばれる。

米国の大統領選をはじめ、人間社会のリーダー選びにおいては、高齢は弱みととらえられることがある。だが、高齢の個体を喜んで受け入れる動物もいると、米ミルズ大学の行動生態学者、ジェニファー・スミス氏は話す。

「哺乳類では、より多くの知識をもち、経験を積んできた個体に、他の個体が積極的に従うことがよくあります」。メスがリーダーである場合は、特にそうだと言う。

おばあちゃんの知恵

アフリカゾウにとってのリーダーは、群れの中で最も年齢を重ねたメスだ。

ケニアのアンボセリ国立公園で行われた研究によれば、60歳まで生きることもあるゾウの高齢のメスたちは、ライオンのうなり声を聞き分け、仲間を守ることにたけていた。また、高齢のメスは優れた記憶力で土地のことを把握していて、食べ物や水など必要不可欠な資源へと群れを導くことができる。「威信と成果に基づいたリーダーシップです」と、スミス氏は話す。

高齢のメスが群れを率いるのは、シャチも同じだ。メスは最後に出産をしてから50年もの間、血縁関係で結ばれた群れを率いることがある。最近の研究では、閉経後のメスは狩りに最適な場所に群れを連れて行くことで、彼らの生存にとって不可欠な存在となっていることがわかった。シャチの群れで祖母が死亡すると、孫が死亡するリスクが上昇する。

「食べ物が少ない時は特にそうです」と、スミス氏は話す。「彼らの社会では、環境についての『おばあちゃんの知恵』がとても重要なのです」

厳しい序列

アフリカに生息するブチハイエナも、多い場合には130匹にもなる群れを、メスが率いる。全てのメスは生まれた時から序列が決まっている。学生時代にできた序列が永遠に続くようなものだ。

「『女王』は母親の社会的順位に基づいてその地位を受け継ぎます。知識と権力が引き継がれていくわけです」と、スミス氏は話す。

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