仕事で感じるむなしさ 向き合って脱却の手掛かりに
(5)意味への意志
写真はイメージ =PIXTA
「心の法則を読み解く心理学は、ビジネスのあらゆる局面にかかわってくる」。心理学者であり、MP人間科学研究所代表を務める榎本博明氏はこう話します。心理学の知見をビジネスの様々な局面で生かせるようにQ&A形式でまとめた最新刊『ビジネス心理学大全』(日本経済新聞出版)から、「chapter1 モチベーションの心理学」の章を紹介、「どうしたらやる気が高まるのか」を考えていきます。
仕事をしていても、どうしてもやる気が湧かず、惰性でこなしている感じになっています。思い返せば、学生時代の学業も、まさにそんな感じでした。でも、仕事はこの先ずっと続けないといけないし、こんな調子で仕事をしていても充実感が得られないし、なんか虚しいです。周りを見るとイキイキと仕事をしている仲間もいるのですが、どうしたらあんなふうになれるのでしょうか?
就職したばかりのときは、緊張感があり、新鮮な気持ちで仕事と向き合うことができても、少し慣れてくると気持ちが緩み、気がつくと学生時代のように惰性で動くようになっている。そんなことになりがちです。
そこで、物足りなさや虚しさを感じるのは、けっして悪いことではありません。それは、心の中で現状に対する不満が渦巻き、「これはまずいな、何とか生活を立て直さないと」といった思いが高まっている証拠と言えます。
仕事をするのは生活の糧を得るためとは言っても、どうせ働くならダラダラと惰性で働くより、イキイキと働きたいものです。周囲にイキイキと働いている人がいると、自分もあんなふうになれたらいいのにと思うのは当然でしょう。
イキイキと働くコツは何か。それは、働くことに意味を感じること、あるいは自分の仕事に意味を感じることです。
無意味感に苛まれるとき
人間にとって一番きついのは、毎日の生活に意味が感じられないことです。無意味なことの繰り返し。そのような毎日では気分は滅入るし、活力が湧いてきません。でも、現実には、そんな感じで仕事生活を続けている人が結構いるのではないでしょうか。
そのような毎日に対して、突然虚しさが込み上げてくることがあります。
目標による管理が行われ、また経費節減や効率化など無駄を徹底的に削減しようとする風潮が強まっている今日、数値目標の達成にひたすら駆り立てられたり、効率化をどこまでも追求させられたりする仕事生活を送っている人が少なくないはずです。