「独学困りごと索引」が付属

「繰り返し挫折」する独学者はまず本の厚みに心が折れそうになるが、そこは乗り越えて手近な書棚に入れてみよう。「独学者のための道具箱」というのが著者の狙いで、繰り返し参照することが期待されている。くじけたとき、立ち止まってしまったとき、この本を開けばいい。「怠け心が生まれたら」「情報の海に溺れたら」「時間が足りないと思ったら」……巻末には41項からなる「独学困りごと索引」が折り込みページになっていて、対応する技法などの記述のあるページが示されている。

なぜ学ぶべきかという根本のところから思考が繰り広げられ、常に動機づけに立ち返り、自分の学ぶ気持ちをなんとかかき立てる技法だけでも15項が紹介される。技法そのものはコンパクトにまとめられ、これに解説が続く。事典的に使うだけでなく、独学論として読み通しても面白い。3部までは全15章で構成されているが、各章の頭に置かれた「無知くんと親父さんの対話」も独学者があがくポイントを的確に捉えて、本書のアウトラインをわかりやすく伝えてくれる。

「3週連続でビジネス書のトップという売れゆき。自分自身、共感できるところが多くて、すごく勇気づけられる」とビジネス書を担当する同書店の本田翔也さんは話す。同書店では、読書猿氏が選んだ本と本書、さらにこれまで同氏が書いた2冊で構成した特設の平台をつくったが、読書猿氏チョイスの関連書まで好調な売れゆきだそうだ。在宅勤務をきっかけに独学に関心を持つ人が増えているのかもしれない。

2位はオードリー・タン氏に迫る本

それでは先週のベスト5をみていこう。

(1)独学大全読書猿著(ダイヤモンド社)
(2)Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔アイリス チュウ、鄭仲嵐著(文芸春秋)
(3)世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方八木仁平著(KADOKAWA)
(4)感性思考佐々木康裕著(SBクリエイティブ)
(5)アフターデジタル2 UXと自由藤井保文著(日経BP)

(青山ブックセンター本店、2020年10月12~18日)

1位が今回紹介した『独学大全』。2位には、台湾のデジタル担当相、オードリー・タン氏の人物像解明を試みた台湾人ジャーナリストの本が入った。こちらは2週連続の2位で、ITの異才への高い関心がうかがえる。

3~5位には息の長い売れ筋が並んだ。3位は自分探しから抜け出す方法を説いた本。5月の発売だ。4位の本は4月刊で、アート的な感覚とビジネスを同時に学べる米デザイン系大学院のプログラムのエッセンスを紹介する。5位は本欄でも「アフターデジタルに続編 日本企業が見落とす視点提示」の記事で紹介した7月刊の本だ。

(水柿武志)

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