報道の自由は失われた? 米メディアの実情に警鐘『失われた報道の自由』より

11月3日の米大統領選挙を前に、日本でも米国メディア発のニュースに接する機会が増えるが、情報をうのみにするのはやめておいたほうがよさそうだ。弁護士でラジオ政治番組の司会者でもあるマーク・R・レヴィン氏は、近著『失われた報道の自由』(道本美穂訳、日経BP)のなかで、米国の主要な新聞・テレビ局の多くは民主党を支持し、「匿名情報」や「つくり話」によって共和党やトランプ政権をおとしめようとしていると批判している。日本人にはあまり知られていない、米メディアの偏向報道の実態を、本書の抜粋を通じて見ていこう。

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日本において多くの人々は、「大手新聞やテレビ局のニュース報道は、おおむね中立・公正である」と信じているのではないだろうか。

ところが、米国においては、この「常識」はまったく通用しないようだ。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、CNN、NBCといった主要メディアのほとんどは民主党を支持し、中立を保とうとしているのは、フォックスニュースなどごく少数のメディアにすぎないと『失われた報道の自由』の著者レヴィン氏は指摘する。

著者のマーク・レヴィン氏は全米的にも知名度が高い論客で、憲法や政治の学者であり、フォックスニュースで政治討論番組を持つ司会者でもある。1981年に若き弁護士として時の共和党ロナルド・レーガン政権に入り、司法省で長官補佐など多様な職を務めた。その後は民間の法律事務所や財団で活動し、やがて保守系の論客として全米レベルの民主党傾斜ではないラジオやテレビで活躍するようになった。保守派の立場から、民主党びいきの大手メディアを批判する。

実のところ、たいていの報道機関やジャーナリストは職業倫理を守っておらず、結果として報道の自由に深刻な打撃を与えてきた。大多数のアメリカ人は、そうした報道機関やジャーナリストを尊敬も信頼もせず、公平で信頼できる偏りのない情報源とは考えていない。たとえば、調査会社のギャラップ社は2018年10月12日にこんなレポートを出した。(中略)
「昨年(2017年)、民主党支持者のメディアへの信頼度が急に高まり、現在は76パーセントだ。(中略)共和党支持者のメディアへの信頼度は依然としてほかの政党の支持層をかなり下回り、わずか21パーセント(中略)」。
つまり、別の見方をすれば、共和党支持者のほぼ8割はメディアを信頼しておらず、民主党支持者のほぼ8割はメディアを信頼している。この状況は、民主党とメディアの間にイデオロギーや政策面で深いつながりがあり、メディアが民主党の主張をなぞっているにすぎないことを表しているように見える。
(第1章 政治的思想が色濃く反映されるニュース 12~13ページ)
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