1カ月以上の男性育休 霞が関から企業へ広げる

2020/10/20
育休を取得した国家公務員の父親たちを紹介する「霞が関のパパたち写真展」が開かれた(東京都千代田区)
育休を取得した国家公務員の父親たちを紹介する「霞が関のパパたち写真展」が開かれた(東京都千代田区)

男性の育児休業が注目されている。国は育休を取るよう社員に勧めることを企業に義務づける法改正を検討する。国家公務員に対しては一足早く、1カ月以上の取得を促す試みが今春始まった。半年を経て見えてきた霞が関の成果は男性育休が増えそうな企業の参考になるかもしれない。

「産後でつらそうな妻のケアや、退院後の準備に充てられた」。内閣人事局の平林孝太さん(33)は第1子が生まれた7月、2週間の育休を取った。病院に毎日顔を出し、出生届などの行政手続きを担った。退院後に妻子が移る平林さんの実家に荷物を運び入れる作業もした。

「心細かったので休んでくれてよかった、と妻に言われた」と平林さん。いったん仕事に復帰し、9月からさらに3週間の育休を取った。出産は予定日より早まったが、「事前に上司と業務内容を擦り合わせ、仕事をほかの職員に振り分けるなどしていたので、混乱なく休みに入れた」という。

国家公務員の男性に育休取得を促す取り組みが4月に始まった。国家公務員には子の出生後8週間以内に取れる有給の特別休暇が計7日間ある。「男の産休」と呼ばれるこの休暇と、通常の育休を組み合わせるのが基本だ。政府は(1)合計1カ月以上(2)なるべく1年以内(3)生後8週間までに一定期間をまとめて取得して――と呼びかけている。

霞が関では今、部下から子供が生まれることを告げられた上司は育休取得を勧めることが求められている。希望を面談で聞き取り、取得計画書を作る。計画の作成が上司の人事評価にも反映される仕組みだ。上司は業務をほかの職員がどう引き継げばよいかも考える。必要に応じて業務の遂行計画を準備する。

民間の知恵も借りる。生まれたばかりの子供との生活に向けて、念入りな事前準備は欠かせない。「リビングの掃除はどうする」「きょうだいのケアは」。夫婦間の意識を擦り合わせる家族ミーティングシートは、2018年9月から男性社員に1カ月以上の育休取得を義務付ける積水ハウスが公開しているものをもとに作った。

収入が減る、との心配が根強いことから、育休中の収入を推計できるシートも用意した。ほかに、仕事と育児の両立支援制度や、育休を取った男性部下を支えた上司のインタビューなどを掲載した冊子「イクメンパスポート」を配布、公開する。実際に育休を取得した男性職員の育児中の一コマを紹介する写真展を開くなど、職場の理解促進も進める。

内閣人事局によると、4~6月に子供が生まれた男性職員3035人のうち、85%が1カ月以上の育休を予定している。予定日数の平均は43日だ。新型コロナウイルスや豪雨災害への対応などで1カ月以上取れない人もいるが、特別な事情がない限り、1カ月は休むのが当たり前という空気ができつつある。

国にとって国家公務員に対する取り組みは、民間企業に男性育休を広げるための地ならしという面がある。来年の通常国会に育児・介護休業法の改正案を提出し、男性に育休取得を勧めることを企業に義務付ける方向だ。

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