「頼れる、手が動く、必要とされる」 人材の新条件とは?

では、実際に仕組みをつくっていく人とはどんな人でしょうか。そして、どんな能力を持っている必要があるのでしょうか。

まず大前提として、以下の観点が重視される傾向にあることを頭にとどめておいてほしいと思います。業界や個別企業によって違いはありますが、中途採用のシーンでの大きな傾向をくくりだしてみます。

観点(1) 個人での成果より、組織での成果

属人的で再現性の薄い個人成果の集積ではなく、柔軟なチームプレーによる組織成果の最大化に貢献できるかどうかを求める企業が増えています。より組織的な動きに貢献できるかどうかは重要な視点です。

観点(2) 指示待ち型人材より、テーマ設定型人材

会社の経営者や上司から降ろされてくるテーマや指示を待っている人材ではなく、各自が自分のミッションからテーマを発見し、合意を取って、それに向かっていく「自走度」の高い人材が求められています。

観点(3) 自前型人材より、ネットワーク型人材

企業が市場価値を高めていく際に、従来のような自前主義だけでは大きな成果を生み出せないことも増えています。社員も同様で、自分の力だけで乗り切ろうとするのではなく、社内外のリソースやテクノロジーを活用して会社の枠を超えたプロジェクト方式で事業を展開していく必要性も高まっているため、ネットワークを持つ人材は活躍機会が増えています。

観点(4) 固定ミッション型人材より、遊軍型人材

経営を取り巻く外部環境の変化が激しくなると、営業や企画や製造など、決められたポジションに固定されているよりは、状況に合わせて必要な部署にフォローに入る多能的な人材が高く評価される場面が増えます。事業全体を俯瞰(ふかん)できる視力が必要です。

また、組織構造も、従来のような事業本部があり、事業部があり、部があって、その下にグループがあるといった階層がショートカットされ、いわゆる「文鎮型」へフラットになる傾向があります。その構造の中では、ベテランであっても、ひたすらマネジャーとして指揮管理するだけではなく、ハンズオンで自ら手を動かして、現場を走れるかどうかということが当たり前のように求められるようになっています。

「この人は現場で手が動かせる人ですか」。人材紹介の現場で、候補者について企業からこういった確認の問い合わせを受けることが当たり前になっています。

この前提の中で最後に、今後より必要とされる可能性が高い人材の能力・志向をまとめてみると以下のようになります。

●今後10年に市場価値が高まる「働き方」の志向・価値観

【ミッション志向】
見かけの役職・年収にこだわらず、現実のミッションの重さや裁量の自由度にこだわる

【挑戦志向】
自分の経験分野やスキルにこだわらず、新しい価値創造へのチャレンジを好む

【貢献志向】
企業から安定や保護をもらうことを期待するのではなく、自分が貢献できることを重視する

【ネットワーク志向】
業界や年齢など固定階層をまたいで幅広いネットワークを持っている

【ポジティブ志向】
業務の精度や慎重さはあるが、基本的に楽観的・前向きな傾向が強い

【水平志向】
コトやヒトの価値判断がフラットで、過去の成功・失敗体験に縛られない。決めつけ、思い込みがない。

【包容性】
理想と現実のギャップへの柔軟性や、理想通りに進まないことを飲み込んで前進させていく力がある

【矢面志向】
悲観的な状況や、絶望的なトラブルでも簡単に折れず、高い当事者意識で壁を乗り越える態度を失わない

前提となるのは、自立したビジネスパーソンとして自ら考え、当事者意識を持って、会社ではなく、市場や顧客に貢献しようとする人材です。激変する環境で、キャリアを考える際の参考に活用していただければ幸いです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行
ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。2019年、中高年のキャリア相談プラットフォーム「Can Will」開設。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』、ほか。「Career Release40」 http://lucentdoors.co.jp/cr40/ 「Can Will」 https://canwill.jp/

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