空気を読まず「問い続けよ」 コロナに負けない管理職大転換期のリーダー論(下)

難局で力を発揮する人材とは(画像はイメージ)=PIXTA
難局で力を発揮する人材とは(画像はイメージ)=PIXTA

コロナ禍とデジタル・トランスフォーメーション(DX)のダブルインパクトが経営に変革を促すなか、管理職には大胆な発想の転換が求められる。経営共創基盤(IGPI)グループ会長の冨山和彦氏と、IGPI共同経営者マネージングディレクターの木村尚敬氏に、前回の「最高経営責任者(CEO)論」に続いて、危機の時代に力を発揮する管理職の条件を語ってもらった。

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――先の見えない時代に、組織のミドル層でオペレーションを支える管理職はどう対応するべきでしょうか。

木村 CEOと一緒に会社を成長させるという前提で2点、指摘したい。まず自分がいつでもCEOになれるよう、準備をしておくこと。そのためにどうするかを考えて行動してください。もう一つは「今のCEOがトップダウンで意思決定を行うために、管理職である自分がどんな役割を果たすのか」を考えることです。

破壊的イノベーションの本質

心構えをひと言で表現すると「空気を読むな」です。今までは上司の覚えがめでたければ引き上げてもらえました。これからは上司を気にするより、自分のポジションをとることが武器になります。ポジションを取るというのは「覚悟を持って、立場を明確にする」という意味です。そのためには訓練が必要です。現場レベルの課長や部長が改良・改善に取り組む場合、与えられた問いに対する模範解答を求められます。つまり100点を取りに行くのが正しい動き方です。しかし破壊的なイノベーションに対応する場合は「どっちに行ったらいいんだっけ」「何を壊さなきゃいけないんだ?」と自分で問いを立てる力が必要になります。

冨山和彦 経営共創基盤(IGPI)グループ会長。1960年生まれ。東京大学法学部卒。在学中に司法試験合格。スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、産業再生機構COOに就任。カネボウなどを再建。解散後の2007年、IGPIを設立し代表取締役CEO就任。数多くの企業の経営改革や成長支援に携わる。2020年10月より現職。パナソニック社外取締役。

問いを立てる能力は、当然、CEOが備えているべきです。ただ、地位を得たからできるようになるわけではない。管理職の段階からトレーニングが要ります。まず、現場のオペレーションの領域で、改良・改善のアジェンダ設定と、そうじゃないところ、つまり転換が必要なアジェンダ設定を切り分けていきましょう。転換には答えがありません。そこで自分のポジションを取る。上司の顔色をうかがうのでなく直接CEOにぶつけに行くわけです。「今のうちに、やめた方がいい」と言えるかどうか、だと思います。

冨山 日立製作所やソニーのようなトップダウンは、実はレアです。なんだかんだいって、ボトムアップ。現場の状況は現場がよく分かっているので、優秀なミドルが動くケースが多いんです。彼らが早めに手を打つことができれば、理想的です。

日本企業はCxO(経営幹部)の能力が弱い。まず、現場の抵抗に押し切られてしまう。論争をやっても、論争負けしてしまいます。現場から「今度はうまくいきます」と言ってきたときに論破できないのです。情に流される部分もあり、妥協案になってしまう。いったい撤退するのか、しないのか……。

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