現場を救いたい思いから

今井社長が最初に腕に巻き付けるバンドタイプのwemoを開発したのは、看護師が時間に追われながら、手の甲や腕に油性ペンでメモを取る姿を頻繁に見かけのがきっかけ。医療現場でのニーズを感じた。「メモできることはwemoに任せて、業務に集中してほしいと思った。当初はBtoBで販売するつもりでいた」(今井社長)が、話題になりBtoCで取り扱うことになった。油性ボールペンで書いてこすれば消える機能性で、院内だけでなく救急隊や建築などさまざまな現場で重用されている。ほかにも注意欠如・多動症(ADHD)など発達特性のある当事者からの需要も高いという。

シリコン製のバンドに特殊加工を施した腕に巻くタイプが「wemo」の第1弾製品。さまざまな現場で対応できるよう目盛りやチェックボックスなど個別のデザインを追加できる。名入れサービスにも対応しているため、ノベルティーとしてのオーダーも多い

ウエアラブルの人気を受けて第2弾のパッドタイプや第3弾のスマホカバーも発売し、シリーズで累計50万個を売り上げた(20年9月時点)。現場のニーズ以外にもオフィス需要や学生に支持された。便利な半面、こすると消えてしまうという弱点があった。そこで、油性ペンで繰り返し使える#tagを開発した。「耐久性だけでなく、一般的なシールや印字によるラベリングで、損なわれがちなデザイン性を担保することも大きな目的だった」と、今井社長は新しいシリーズ展開の狙いを語る。

さらに「メモ情報にはstock(残すべき情報)とflow(用が済めば消す情報)に大別できる」という考えから、Stock & Flowをラインアップに加えた。「手書きでのアウトプットによる生産性向上をサポートできる。シールタイプは、気に入った手帳のページをflowの情報で無駄に消費したくないという思いから生まれた。そこからさまざまなシーンに合わせて商品を展開した」(今井社長)

今井社長の思いを実現したのが、機能性フィルムを開発するコスモテックの独自技術だ。「油性ボールペンや油性ペンで使用する場合はマットなコーティングだが、水性ペンの場合は表面の粗さをコントロールし、光沢をもたせた」(コスモテックwemo事業統括主幹の下山卓紀氏)

#tag、Stock & Flowの販路もwemo同様、アマゾン、東急ハンズ、ヨドバシカメラ、ビックカメラとなる予定。アイデア次第で活用の幅が広がるwemoの新シリーズもヒットの予感がある。

(ライター 北川聖恵 、写真 小西範和)

[日経クロストレンド 2020年9月30日の記事を再構成]

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