データに出ない現場の肌感覚をつかむ

――大塚会長とのリーダーとしての違いはありますか。

「大塚会長と僕を比べると、性格は似ているところもあるけど、経営者としては全然違いますね。大塚会長は天性の感覚を生かした強いリーダーシップがあります。大塚会長のひらめきで作った商品が当たり続けたので良かったのですが、そういう才能のある人はそうそういません。代わりがきかないというのは組織として弱点になりかねないので、私が社長になってからマーケティングの部署を初めてつくりました。会社が大きくなる中、トップのセンスだけでなく調査の数字も必要だと考えたからです。社長の決断の早さといった部分は残しつつ、トップに頼りすぎない現場の自主性を育てたいと考えました」

大阪支店長時代も、コミュニケーションを最重視してきたという(右端が川端氏)

――商品開発も現場に任せているのですか

「そうですね。自主性を大事にしています。今はデジタルの時代で、データを基に商品のヒット率・勝率がある程度予測できます。ただ、『この商品は8割の勝率がある』とデータが出ても、『じゃあ、残りの2割はどうなのか』と考えることが大切なのです。ここに、現場の社員が培った経験や肌感覚が生きてきます。それを踏まえて、トップの僕がどういうふうに考えるのか。提案してきた社員の考えは必ず聞くようにしています。もし、新商品の提案で勝率が2割しかなくても、自分の考えがしっかりあれば尊重します。それで失敗しても、そこから得た経験を次に生かせばよいのです」

「マーケティングは問題解決そのものです。顧客がかかえる課題を解決したときにヒット商品が生まれるのです。一人の消費者が同じ商品を使っていても、生活スタイルが変わればニーズが変わります。実家で家族と暮らしていた若者が、一人暮らしを始めた瞬間、これまで使っていた商品に不満を感じることもある。そういう変化を読み取っていかなければいけない。データを集める調査は大事ですが、その数字から何を読み取るかが問われますね」

次のページ
「自分の考えを持つ」のが部門長の役割
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら