「責任は僕が取る。やって」 現場の即断が社員育てるアース製薬 川端克宜社長(上)

アース製薬社長 川端克宜氏
アース製薬社長 川端克宜氏

アース製薬は2019年12月期の連結売上高が約1895億円の虫ケア商品・日用品大手だ。筆頭株主である大塚グループ出身の社長が率いて伸びてきた同社を、川端克宜社長は初のアース生え抜きのトップとして14年に引き継いだ。現場の自主性を重んじてボトムアップ型の組織を目指すことで、連続増収を達成してきた。川端氏は「さらに次のフェーズに進むとき」と考えて、対話を通した社員の育成に力を入れる。

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――リーダーの役割をどのように考えていますか。 

「僕は真っ白のキャンバスに絵を描くのがリーダーの仕事だと思っています。まずは会社の大きな方向性を決断する。その上で、そこから先の各論の細かい話はそれぞれの部門に落とし込んでいく。これがいいと思います。そのためには、トップが決めるところは決める。臆せずジャッジできる心構えが大切です」

「時には鈍感力も必要です。部門に任せた後も、細かいことが気になるときがあります。でも、そこでダメ出しをしてしまうと、きりがなくなります。大きな道筋や目指すべきところが決まっていれば、上る道は色々あってよいと思います。リーダーが『この登り方で上れ』と指示を出せば、それはそれで会社は動きます。ただ、一人ひとりの社員が考えなくなって、指示待ちになってしまう。失敗をしたとき、自分事として捉えられずに成長できません。結果は結果でしかありません。僕はなぜその社員がそう考えたのか、決断するためのプロセスに一番興味があります」

――ご自身はどのようなタイプのリーダーだと思いますか。

「生まれながらのリーダーといった人もいますが、僕はそうではなく、どちらかというとサラリーマンタイプです。就任以来、こちらから全て指示を出すトップダウン型ではなく、『やりなはれ』という感じ。それぞれの部門で、色々なことを決められるような組織にしてきました」

「アース製薬は僕が社長に就任するまで、長年オーナー企業として大塚グループ出身のトップがスピード感を持って経営を引っ張るスタイルでした。以前はそれでうまくいっていたのですが、時代の流れや会社の規模が大きくなるとともに、新たな段階に進む必要がでてきました。例えば、私が入社した頃に比べると売り上げ規模は5倍ほどです。前社長の大塚達也会長に直接聞いたわけではないですが、私が社長になったのも会社がそういうタイミングに成長したからだと思っています」

「私が社長になる前からあったスピード感の良さを生かしつつ、ボトムアップ型の組織にしようと思って取り組んできました。ただ、物事はシーソーのようなものだと考えています。一番いい中間地点で止まればよいのですが、大体どちらかに傾きます。そこのバランスをとるのが非常に難しい。今はトップダウン型のスピード感を重視するより、社員の考える力を出していく時期なんだと思っています」

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