ダイジなことに集中せよ 意思決定効率が上がる思考法第7回 キャリアサバイバル(3)決める力・伝える力は重要思考で

すべてのベースとしての論理思考〔重要思考〕

日本企業にアンケートを採ると、新卒社員に求める能力の1位は常に「論理的な思考能力(ロジカル・シンキング)」です。理系でも文系でもそうです。これはきっと「業務遂行上重要」なのに「足りないから」なのでしょう。重要でなければどうでもいいはずですし、充足しているなら今さら求めなくてもいいでしょう。

ロジカルはロジック(論理)の形容詞。でも本来はどういう意味なのでしょう。この言葉はギリシャ語のロゴスに由来します。この世を支配する真理を指し、理性的な論証の言葉でもあります。ロゴスに対比されるのがミュトス。神話や寓話、悲喜劇など、ヒトが語り伝えた物語のことを指します。愛憎あふれる、豊かな世界です。でも、そこには理性的な真理はない、とギリシャの賢人たちは考えました。

ロゴスから生まれた論理学は、数学の一部ともなり、いまやあらゆるコンピューターや電子部品の基本原理となっています。厳密に、そして理性的に。一方、ミュトスに代表されるように、ヒトの思考回路はかなり曖昧かつ非理性的です。いろいろなバイアスがかかりますし、自分では気がつかない潜在意識(無意識)なんてものもあるので、実は「意識的・理性的に考えてモノゴトを決める!」なんて1日に何回もないのです。

ではロジカルであるとはどういうことでしょう。ロジカルシンキングの教科書にはこうあります。

・論理的に考えるとは命題をはっきりさせピラミッド状(上が結論、下が理由や証拠)に組み立てブロックを隙間なく埋めること
 
・ピラミッドのつくり方は上から(演繹法)と下から(帰納法)があり、そのためのツールがイシュー・ツリーやMECE(ミーシー=モレなくダブりなく)

う~っむ。エジプトの王さまではないので、こんな精巧緻密なピラミッドを、会話するたびにいちいちつくっていたら、日が暮れてしまいます。かつ、これらを頭の中で高速処理できるようなら、苦労しません。

日常におけるロジカルの超基本とは、もっと単純です。それはまず「塊」と「つながり」がはっきりしていること、そして一番大きな塊「重み」や強いつながりの「差」に集中すること。それだけです。ダイジなことに集中するので、私はこれを「重要思考」と名付けました。

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