コロナ禍の中学受験どうなる? 難関校を避ける傾向も

栄東中学校(さいたま市)では、授業でも使うパーテーションで受験生の間を仕切り、感染防止対策に努める
栄東中学校(さいたま市)では、授業でも使うパーテーションで受験生の間を仕切り、感染防止対策に努める

新型コロナウイルスは来春の中学入試にもじわりと影響を与えそうだ。出題科目や範囲を変更する学校は限定的だが、難関校狙いの受験生の間では志望校選びに変化の兆しが見える。発熱した受験生の追試や合否の調整など、例年にない対応を予定する学校もある。

出題範囲見直しは筑駒など一部で

筑波大学付属駒場中学校(筑駒、東京・世田谷)は9月中旬、全4科目で出題範囲を見直す、とホームページで公表した。小6の国語で覚える漢字を除外するほか、理科では「電気の利用」「水溶液の性質」など小6後半で学ぶ内容を出題しない。「学習の遅れに配慮した」(同校)という。

日本大学第二中学校(東京・杉並)も問題数と試験時間を減らす。理科は小5までの範囲で出題する。「小学校によって進み方が異なるので、塾に通っていない児童にも不公平にならないようにした」(同校)

ただ、こうして出題範囲を変える学校は一部にとどまるようだ。森上教育研究所(東京・千代田)が首都圏の私立中学中心に聞いた調査(340校が対象、147校が回答)によると、問題の出題について「変更なし」と答えた学校は69%(101校)を占めた。「出題範囲を限定する」が12%(17校)、「入試科目を少なくする」は2%(3校)にとどまった。

麻布中学校(東京・港)は日本経済新聞の取材に対し、「特に変更は予定していない」と説明するなど、難関校で目立った動きはない。

人数減らす、日程・場所分散…3密回避へ対策

入試当日に3密回避など、感染防止策を検討する学校は多い。調査では「教室の収容人数を減らしソーシャルディスタンスをとる」とした学校が82%あった。ほかに「入り口で検温をして高熱の場合は別室受験とする」は44%、「コロナ感染者対象の追試を実施する」は29%と、一歩踏み込んだ対応を取る学校もある。

栄東中学校は来年1月の入試で、日程や会場を分散させる感染防止対策を予定している

毎年、1月の初回入試だけで6千人が受験する栄東中学校(さいたま市)は日程を2日間、会場を3カ所に分散する。集合時間も1時間ずつずらす。受験生の間をパーテーションで仕切り、車での来校も認める。

在宅によるオンライン入試を予定する学校は少数派で、日程を振り替え実施を検討するのは一部にとどまる。東京私立中学高等学校協会がオンライン入試の自粛を申し合わせたことなども背景にある。学校側からは「公平性が保てないのではないか」(広尾学園)と懸念する声が目立つ。

小6の受験生をもつ都内の40代女性も「慣れない環境で実力が発揮できないのではと心配。自宅も対応できる状況ではない」と話す。

一部難関校は志望者減? 追試で繰り上げ合格続出も

志望校選びには変化があるかもしれない。同研究所の森上展安所長によると、「7月時点の模試では開成中学校や筑駒の志望者が例年に比べ15%ほど減っている」。コロナ禍により例年通りの受験対策ができず、通常なら難関校を狙う層が敬遠している可能性がある。

見通しにくいのがコロナ感染者への追試の影響だ。追試で合格になった受験生が別の学校を辞退し、入学予定者が減った学校が繰り上げで合格者を出す、という状況が予想される。多くの学校で、「3月ギリギリまで入学者が決まらない可能性がある」(森上所長)。受験生も保護者も、例年以上に合否に気をもむ場面が増えるかもしれない。

(生活情報部 砂山絵理子)

[日経電子版2020年9月25日の記事を再構成]

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