2020/9/29

コロナ下、テレワーク評価7割

月数回以上テレワークをしている人を対象にテレワーク拡大後の働きやすさを聞いた設問では971人中「とても働きやすくなった」と「どちらかといえば働きやすくなった」を選んだ人が7割に達した。「ほぼ毎日」テレワークをしている人が950人中50%と最も多く、週2~4日が35.8%で続いた。

小売業の商品企画部門で働く中山茉莉花さん(34)はテレワーク導入で働きやすくなったと回答した一人。浮いた通勤時間に身体を動かし、ワークライフバランスの充実を図る。新規商品を開拓する業務を担う中山さんは外回りが多く「部署内でそれぞれの仕事の進捗を確認できる仕組みになれば、もっと効率的になるだろう」と話す。

公園で電話に出る中山茉莉花さん(東京都渋谷区)

「親の介護対応や子どもの下校時に居られるようになった」(40代)一方、「小さな子供がいるので保育園から帰ってきた後は全く仕事ができない」(40代)という回答もあった。自宅での仕事は各社員の家庭の事情が入り込む点で出勤とは違う難しさもある。野村総合研究所の武田佳奈・上級コンサルタントは「従業員の置かれた状況などを踏まえて、きめ細かく生産性を最大化できる働き方を検討していくべきだ」という。

テレワークが定着し、課題も明らかになった。「勤務開始時・終了時に予定や業務内容を記したメールを送ったが、30分以上要した作業でも一言『取引先にメール』となり、上司への報告に困る」(30代)や「勤務時間外に1回電話に出なかっただけで仕事をしていないと見なされ、上司との関係が悪化した」(20代)。反対に部長クラス(40代)から「通勤がなくなったのは良かったが、部下の管理が大変」との声もあった。

下期の人事考課にテレワークの成果がどう反映されるか案じる声もあった。「働きぶりが見えないと、男女の昇給にもっと差が出るのではないかと心配」(30代)、「上司から見えないので、きちんと評価してもらえるか不安」(40代)で週1~2回の出勤を望むという意見もあった。

独立行政法人の労働政策研究・研修機構(JILPT)の濱口桂一郎研究所長は「日本は職務内容や成果だけで評価されるわけではないので、職場を離れた場所での働き方では問題が発生しがち」という。そのうえで「『遅くまで頑張っている』などというプロセス評価が人事考課の大きな要素を占めているため、評価制度の見直しも含めた議論が必要だ」と指摘している。

■マネジメント改善急務
今回印象に残ったのが「常時ウェブカメラ接続の上、在宅勤務を求められる」や「離席する際にはチャットに投稿しなければならない」などの不満だ。上司が仕事を細かく管理しようとするマイクロマネジメントの徹底は、状況の把握に効果的だが、「信頼されていないのではないか」と部下を不安にさせる恐れもある。アンケートには「『トイレに行ってきます』とチーム全員に断らなければならず、モラル・ハラスメントだと感じる」との回答もあった。
在宅勤務は多くの人にとって朗報となるはずだったが、ひずみも生じている。新型コロナウイルスへの緊急措置として導入された在宅勤務が定着するかどうかは、マネジメントの改善にかかっている。
(山下美菜子)

[日本経済新聞朝刊2020年9月29日付]