学生時代にイベント企画サークルのサブチーフを経験し、一人ひとりが活躍できる環境づくりにやりがいを感じた。人々が快適に過ごすことを支える仕事が「鉄道会社ならできるのでは」と考え、小田急に入った。

入社式や研修は少人数のグループで実施。例年より時間も短くなり、同期と接する時間が限られた。寂しさはあったが、それでも「社会人になる区切りなので、入社式があってうれしかった」と前向きに捉えた。

研修後の4月中旬には下北沢駅(東京・世田谷)に配属され、2カ月半ほど駅員として働いた。「何気なく使う駅が職場になったことが新鮮だった」と振り返る。専門知識を要する場面も多い。仕事を覚えるため、一緒に配属された同期と共有のノートを作り、情報交換して勉強した。

入社当初から異例の状況が続く。心配はあるが、上司や先輩らの手厚いサポートもあり、不安はかなり解消された。

「等身大の自分を大切に、前向きに過ごしてほしい」。学生にはそんなメッセージを話してくれた。(森匠太郎)

リモートに抵抗なく

三井物産の伊藤友貴さん

「テクノロジーで世界を変えたい」。三井物産の伊藤友貴さん(29)はそう力を込める。学部で4年間、大学院で5年間の学生生活を経て入社。専攻していた自然言語処理で研究実績を残したが、「研究を実践に生かしたい」と就職を決めた。

配属はデジタル総合戦略部。社内外のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う。新型コロナで在宅勤務に。出社は2週間に1回程度だが、「大学時代から打ち合わせはリモートだった」といい抵抗はない。テレビ会議システムで実施した入社式も「このご時世だから仕方がない」と冷静に受けとめた。

商社を選んだ理由は「眠っているデータ」の存在を魅力に感じたからだ。商社が扱う幅広い商材に「ビジネスチャンスがある」とみる。「例えば、ラーメンのデータとミサイルのデータを掛け合わせれば、そこから新しい事業が生まれるかもしれない」

三井物産は2017年に商社で初めて最高デジタル責任者(CDO)を置いた。データ分析を手掛けるスタートアップとも柔軟に連携する経営姿勢が「すごく面白い」と感じ、入社を決めた。

「学生時代とは異なり責任も大きい」が、それだけにやりがいもある。夢に向かって着実に歩んでいる。(仲井成志)

■前向きに、意識高く
取材時には互いにコロナ下に入社した共通項から話が盛り上がった。
森記者は「入社式があってよかった」という有馬さんの言葉に共感した。先が見通せない状況ではあったが、入社式に参加することで新人が得られるものは大きい。
赤堀記者は内藤さんの「環境を言い訳にせず、自分でやりがいを見つける前向きさに感動した」。仲井記者は伊藤さんの「学生時代から自分のやりたいことが明確にあり、それを仕事に選んだ意識の高さが印象的だった」。また、茂野記者は栗原さんの「がんで恩師を亡くした経験を基に、製薬に打ち込む姿勢に感銘を受けた」という。
新聞記者にとってコロナ下は「取材相手に直接会えない」「現場に行けない」といった制限が多い。試行錯誤を重ねる日々だが、新人記者らは他社の「同期」から受けた刺激を糧に「初心を忘れないようにしたい」と思いを新たにしていた。

[日本経済新聞朝刊 2020年9月23日付]

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