「いざとなれば」いつでも自立できる準備をする時代へ

「自分のキャリアを自分でデザインする」ためには、心理的な企業依存を下げる必要があります。そのためにも、いつでも自立できる準備、仮想でもいいので起業する準備を整えておくことをお勧めします。

一つの参考にできるのは、雇用の面で「課題先進国」だった米国です。1990年代以降、米国では安定雇用の減少やIT(情報技術)の発展により、「雇われない働き方」の代表格であるフリーランサーが急速に増えています。

インターネットが普及しはじめると、フリーランス的な働き方を好む人のハードルが一気に下がり、また実際に報酬面でも魅力的であることが周知されてきたため、「就職するよりもフリーランサーになったほうが稼げる」という人材が急増しました。さらに2010年以降はSNS(交流サイト)の普及やシェアリングエコノミーの登場により、一段とフリーランスの多様化が進んでいます。

米国のフリーランサーの職業は、すでに多種多様になっていますが、16年時点の米国全体で5500万人といわれており、これは労働人口の35%に相当します。ちなみに現在の日本ではフリーランサーは440万人で労働人口の7%。日本と米国の労働人口に占める割合の開きは実に5倍に上ります。終身雇用が終焉(しゅうえん)に向かいつつある日本も、米国型に近づいていく可能性は高いと思います。

多様なフリーランサーは以下の7つに分類されるといわれています。

■フリーランサーのキャリアスペクトラム

・副業ワーカー(フルタイムの仕事を持ちながら夜や週末に働く)

・複業ワーカー(複数の仕事を掛け持ちする形態)

・期間契約ワーカー(有期契約で雇用される形態)

・独立コントラクター(典型的なフリーランス)

・フリーランス・ビジネスオーナー(他のフリーランスを雇用するフリーランサー)

・スモールビジネス(小規模商店の経営など)

・ベンチャー(新規事業を行う企業)

(Freelancers Union,Upwork,Edelman Berlandから抜粋)

必ずしもはっきりと線引きはできないものの、下にいくほど独立事業としての経営責任が重くなる分類です。

上の「副業」や「複業」などには、ウーバー(Uber)運転手などシェアリングエコノミー系の仕事が含まれ、最大派閥である「独立コントラクター」の下は小規模の自営業である「スモールビジネス」、さらに「ベンチャー企業」と呼ばれる群に分かれています。

起業とひとことでいっても、これだけのバリエーションがあります。これまで「会社員」として100%雇用されることで生きてきた人も、アイデア一つがあれば、必ずしもハイリスクではないスタートを検討できる時代になっています。

従来の正社員のように、組織内外の人の組み合わせでイノベーションを起こそうとしても、組織の重層的な意思決定や雇用契約に基づく強い拘束で、創造性が発揮しにくかった分野では、特にICT(情報通信技術)のテクノロジーの活用が期待されています。その際に、社内の硬直したルールの中ではできないことが、第三者のフリーランスに委託されることも増えています。いつでもどこでも誰とでも、新しいコンセプトを生み出せるようになる時代に変わりつつある中で、どんな形態であれば自分が自立していけるのかを模索していくことは、キャリアの保険としても有効です。

自分の能力や経験が生かされる機会を、自分なりの工夫で最大化して付加価値の高い働き方をぜひ考えるきっかけにしていただければと思います。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行
ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。2019年、中高年のキャリア相談プラットフォーム「Can Will」開設。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』、ほか。「Career Release40」 http://lucentdoors.co.jp/cr40/ 「Can Will」 https://canwill.jp/

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