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海外でも日本酒普及、プロ育成 東京の柴田屋酒店世界で急増!日本酒LOVE(25)

イタリアでの日本酒試飲会。左が泰宏氏の弟でグループ企業Shibata-ya Italy の柴寛宏氏

「HAPPI」シリーズは他の日本酒とはちょっと違う雰囲気を演出するため、ラベルもオリジナルにした。20代の米国人女性デザイナーが手がけたもので、見た目はワインボトルのようでもある。新しいコンセプトの商品に、国内で製造を担当する蔵元たちも期待を寄せる。

「各国で現地の人々の声に耳を傾け、商品開発もする。酒のブランド力だけに頼るのではなく、酒屋として自分たちの知恵や独自の営業手法でサービスやビジネスを成功させることが重要だと思っています」と柴氏。そうすることで自分たちはもっと強くなれると確信しており、今後はイタリアでの現地醸造も目指す方針だ。

同社は2019年、国内で「その他の醸造酒製造免許」を取得した(清酒醸造免許はこれから)。すでにどぶろくの醸造試作をスタートしており、そのスキームをイタリアに持ち込み、現地で醸造する計画という。

どの国でも一般消費者はいきなり高級酒にはトライしにくい。価格面でもホップ→ステップ→ジャンプという流れが必要になってくる。「イタリアで日本酒をもっと広く広めるためには現地醸造が欠かせない。例えば30ユーロ(約3700円)のマーケットしかないと、その母数は限られるが、10ユーロ(約1200円)の日本酒もあれば、一気にマーケットの裾野が広がり、市場全体が拡大する」と柴氏は指摘する。

北イタリアのワイン生産者と。右から2人目が柴泰宏氏

現地醸造により割安なホップ&ステップの下層マーケットを生み出すことができれば、最終的に「“日本から輸入された本物の日本酒は高いけれど、やっぱ美味しいよね”と高級酒の価値も生まれてくるはず」というわけだ。

同社は国内のグループ企業で「ビール工房」というビール醸造所併設レストランも展開しているが、イタリアでも日本酒の醸造所の隣にビールのブリューパブも併設、という構想を抱く。「日本酒だけでは間口が狭く、投資も回収できないので、海外でも隣でビールも造って一緒に売る。ビールもワインも日本酒も造れる未来の酒屋。そこでは新鮮な生酒も飲めるし、もちろん輸入した日本酒も販売する」。そんな青写真を描く柴氏の夢は膨らむ。

同社は社員約150名のうちソムリエ資格保有者が約40名、日本酒のサケ・エキスパート資格保有者は62名。柴氏含め、ビア・テイスターなどビールの資格を持っている社員も少なくない。いわゆる酒の最強集団だ。「ワインを世界から日本へ、逆に日本酒は日本から世界へ。“人と人をSAKEで繋ぎ、世界中を笑顔にする”というのが我々の役目です」と、国内外のスタッフ一同、意欲を燃やす。

(国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)


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